2007年08月08日

No.439 9S

 最近読んだ中でお勧めできるライトノベルってなに?
 などと聞かれたら (まぁ聞かれませんが……) 私は『9S (ナインエス)』 と答えるでしょう。

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 数多くの新技術の開発や発明、そして非人道的な実験を行ってきたマッドサイエンティスト、峰島勇次郎の遺した 『遺産』 がキーとなるこの話。

 1巻では海上の閉鎖実験施設、スフィアラボが峰島勇次郎の遺産強奪を目的とした武装集団、蜃気楼(ミラージュ)に強奪されるも、そこでアルバイトをしていた高校生、坂上闘真は辛くも脱出に成功し、その襲撃を通報することに成功する。
 そこで闘真は、この事件の解決にあたる事となる遺産管理組織、ADEMに事情聴取を受ける際、NCT研究所の地下1200mの場所に拘束されている峰島勇次郎の一人娘、峰島由宇と出会う。

 スフィアラボ強奪占拠事件解決のため、闘真と由宇、二人は蜃気楼に挑むという、そんな話。

 2巻では前回のスフィアラボ事件から2週間後、遺産を用いて製作された多目的多足型無人戦車、レプトネーターの起動実験が孤石島という島にて行われるため、その実験に立会う峰島由宇とADEM。
 そこで案の定というかお約束と言うか、暴走するレプトネーター。
 レプトネーターは遺産強奪組織、ミネルヴァにシステムを組みかえられていたのである。
 由宇に会うため孤石島へと訪れた坂上闘真も巻き込んで、殺戮兵器と化したレプトネーターと、ミネルヴァの面々が立ちはだかる。

 3巻、4巻は前回の事件からまた2週間後、NCT研究所の研究員、木梨はLAFIというコンピュータにリンクしようとして体を奪われてしまい、どんどんと肉体を変異させていき多くの犠牲者を生みながら研究所を脱走。
 それを追いかけて峰島由宇も三度外へ。
 変異体と化した木梨が向かうのは峰島勇次郎の足跡を辿る唯一の遺産、天国の門。
 変異体、そしてミネルヴァのマジシャンと手を組んだ真目勝司、そしてアジアを統括する真目麻耶、そして峰島由宇と坂上闘真。
 メインキャストがズラっと顔を揃え、天国の門がある奨励都市「希望」に集う。


 とりあえずいまのとここの4巻までしか読んでないんだけど、非常に面白い作品です。
 登場人物がラノベですので、非現実的でユニークかつ特殊。

 主人公、坂上闘真は普通の高校生なのだが、禍神の血を引く真目家に伝わる小刀「鳴神尊(なるかみのみこと)」の継承者でもある。
 普段は温厚で優しい性格の持ち主なのだが、一度鳴神尊を抜けば一変、並ぶもののいない力を持つ殺人者に変貌してしまう二重人格者だったりする。

 一方、ヒロインである峰島由宇も普通の娘。ただし、頭の中身が普通じゃない。
 身体能力は平均以下のハズなんだけど、物理計算によって身体を正確無比に操るため、常人が及ぶべくもない戦闘能力を発揮するのだ。
 要するに、無駄がないってことですな。
 物心ついたころから研究者など大人(つか、オヤジども)に囲まれて暮らしたため、口調が硬く、粗野、乱暴。私はこういうキャラが大好きです。

 短編、お堅い印象を受けたあなたは、9S(ないんえす?)SS を読んで爆笑するも良し。
 みんなにはお勧めできない作品ですが、ラノベ好きなら読んでみて損はないかなぁ、と思う作品です。
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2007年08月01日

No.433 ダイヤのA 5・6巻

 ダイヤのA 4巻.jpgダイヤのA 5巻.jpgダイヤのA 6巻.jpg

 前回 ――といってももう去年に紹介しただけなんですが、今一番私が面白いと思っている野球漫画、ダイヤのA (ダイヤのエース) の6巻が先月発売されていましたね。

 ――さっくり買い忘れていました。

 名門、青道高校の野球部にスカウトされて推薦入学した……て、この時点で今の特待生問題に大きく関わっているような気もするケド――ともかく青道野球部に入部した沢村栄純は、本格的な指導を受けたことのない、いわば素人。
 しかし、肩関節と手首の柔らかさにより上下左右に変化するナチュラルムービングボールを武器に、エースナンバーを目指す物語だ。

 なんつーか、今まで野球漫画と言えば 『弱小高校が名門高校を倒すサクセスストーリー』 的な野球漫画しか読んだことがなかったので(MAJORでも海堂から聖秀に行ったしね) なかなかに新鮮。
 主人公、沢村栄純のひた向きかつ豪快なキャラクターも楽しく、読んでいて本当に面白い。

 4巻ではクリスと監督の助言もあて、沢村の持ち味、クセ球がパワーアップ。
 練習試合で沢村とクリスのバッテリーが見れるのはここだけ!

 5巻は練習試合の続き。
 夏の甲子園予選に向け、最後の1軍枠2名の発表。
 沢村や3年生のクリスは選ばれるのか!?
 高校球児が甲子園という目標に向かい、1軍という枠に残るために努力する。
 そしてその結果――。
 選ばれたものは選ばれなかったものたちの分まで強くならなくてはならない。
 予選を前にして早くも夏が――高校の野球が終わった3年生の目からあふれ出る涙にはくるものがあります。

 6巻は夏の甲子園予選に向け、合宿がメイン。
 1軍に選ばれた3人の1年生に容赦なく襲い掛かる地獄のメニュー。
 夏に、野球に賭ける想いが炸裂する鬼の監督、直々のノックではキャプテン結城や伊佐敷など、3年生が熱く、そしてカッコいい。
 名門という看板を維持するには、こういう選手たちが必要なんでしょうなぁ。
 パワプロの栄冠ナインでも名門と呼ばれるようになりたいもんです。

 そうそう、関係ないけどパワプロ14で追加されたスキル、球持ち○は、まさに沢村栄純のために追加されたかのような能力ですなぁ。
 どなたか再現してほしい、と思うんだけど、ストレートが130km台というのはまだプロでは厳しいですね。
 これからの沢村の成長に期待します。
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2007年07月07日

No.417 サムライうさぎ

 サムライうさぎ 1巻.jpg

 明日にこの本の紹介を書く、みたいなことを書いておいたくせに更新は2日後になってしまっただめなヤツです。
 つかね、

「ピンクボンバー、ここやっておいてくれ」
「おいピンクボンバー、これのコピーとってくれ」
「ピンクー! クマと一緒に弁当買ってこーいっ!!」

 などと、ピンクボンバー事件のせいで妙な存在感を得てしまった私は、ことあるごとに細かな用事を言いつけられる便利屋と化してしまったため、仕事が忙しくなって仕方がないのですよ。
 要するに、更新できなかったのは仕事のせい、というわけで、別に昨日、5時までどっぷりとMHFをプレイしてしまったせいでは談じてない――かも。

 そんなわけで、どんなわけかは毎度毎度わかんないけど、ジャンプでこの春から好評連載中らしい『サムライうさぎ』の第1巻であります。
 まずはこの本を紹介してくださった荒屋敷零壱さんに向かって敬礼!(たぶん東の方)
 うん、面白いですなぁ。
 武家社会の対面を気にする気質を嫌うも、自らは妻のため、立派なサムライとなるために天下一の剣術道場を開く15歳の少年のお話。
 そーだよなぁ、この時代なら15歳で嫁さんいたって驚くことじゃないもんなぁ。
 ただ、それを少年漫画にもっていった発想がまず素晴らしいな、と思って感心。
 武家社会の体面を気にする性質に捕らわれることを拒み、妻と自由に生きるため、好きな剣術の道場を開いた伍助。
 天下一の道場にすべく、めげずに頑張る姿が微笑ましいです。
 ほのぼのとした雰囲気は読み進みやすく、一気に読破してしまいました。
 これも続きが楽しみな作品です。

 剣はうそをつかぬよ。

 いい理念だとは思うんです。
 考え方次第では、ですが。
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2007年07月05日

No.416 ジャンプコミックス2冊

 P2! 3巻.jpg アイシールド21 25巻.jpg

 とりえず購読している新刊2冊、購入です。
 ネタバレあるんで、読む予定なのに読んでない方、ご注意ください。

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 ジャンプで卓球漫画という試みが新しいP2! の3巻。
 覇王vs破王という、このフレーズだけ見る限り、卓球というジャンルのスポーツは絶対にイメージ不可能ですが、ともあれその戦いの火蓋が切って落とされる第3巻。
 それと共に現れたのが柳紅州、柳青州の双子君。
 中国人だと思ったら、単に日本人が中国へ留学しただけだったのね。思わず勘違いしちゃったよ……。
 名前といい、顔立ちといい、髪型といい、中国人みたいなんだもの。
 そんな2名の新キャラも、遊部&川末の破王相手の噛ませ犬を演じさせられちゃいました。
 つか、中国卓球ってペンホルダーなイメージがあったんだけど、2人共シェイクハンドなのね。

 そのあとは岩熊vs相馬の主将対決。
 単純で一直線な男ってのは見ていて気持ちがいいですな。
 それにしても、パラダイムとかいう戦術に重視を置く卓球で相手を圧倒する相馬は、それを崩されると脆すぎと言うかなんというか……。
 それで夏に負けたのが岩熊だけ、と言われてもピンとこないのは私だけでしょうか?
 で、その岩熊もヒジは過剰練習のために選手生命が終わったとかそういう展開ですか……。
 2巻で怪我から復帰した、と言っていたところから、なんとなく岩熊はリタイアになる展開にじゃないかと予想はしていましたが、ここでとは早かったですね。

 岩熊のあと、主人公たるヒロムの登場。
 それに関係ないのですが、木之下さんが好きです。
 ダブル小っちゃ可愛い。
 そんなセリフ、生まれてこの方言ったことも聞いたこともないですな。

 んで、肝心の試合ですが、考えてみれば夏大で負けたのは岩熊のみ、と言っていたくらいですから、相馬は全国のシングルでも1位だったということですよね?
 なので、ヒロムの生まれて初めての対外試合・シングルス戦の相手は、全国1位の選手ということに……そこらへんからしてありえないというか、凄すぎです。
 つかアレですな、戦術をチェスの駒に見立てて演出するのは多いですね。
 コードギアス然り。……あと思いつかないけど。
 で、試合の結果はまぁ当然というか、ギフトの片鱗を見せて終了。

 試合後、呆けているヒロムに唯一声をかけたのが、チームメイトではなく晶というのは、どういうことなの久勢北メンバー!? と突っ込んだのは私だけなんでしょうかね……。
 P2にはジャンプお得意の友情という文字はないのか!?

 4巻からは合宿と、しばらく修行編になりそうで、新しく登場しそうなキャラクター共々、楽しみです。
 
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 アイシールド21は何気に1巻からずっと買い続けてきた作品。
 アメフトには興味ないのですが、面白くなりそうな予感はしていたので買い続けてたら案の定で、アニメ化までしちゃいましたね……。

 この単行本で一番楽しいのが、本編もそりゃ楽しいのですが、話の合間に入る色んなおまけ。
 今回は 泥門vs王城戦ギャラリー1000人アンケートと、お馴染みの調査コーナー。
 1000人アンケートは『ズバリ、ぢっちが勝つと思う!?』『今日のMVPを予想』から、『泥門に弱点があるとすれば、どこ?』『王城に弱点があるとすれば、どこ?』といったものや、『(女性限定)彼氏にするならどの選手?』と『アイシールド21の正体はどんな人だと思った?』と、『実際の正体だった、セナくんの印象は?』があって、楽しめました。
 アイシールド21は、ジャンプの週刊誌だけでアイシールドが好きな人も、コミックスを買って読んでもらいたいなぁといつも思う作りなんですよね。
 週刊誌で連載しているのに、コミックスも手抜き一切なし、な感じが凄く好きです。
 もちろん内容も凄く好きですけどね。
 解説のリコちゃんによる、前半戦のまとめが今回のツボでしょうか。

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 サムライうさぎ 1巻.jpg

 あと荒屋敷さんのオススメでこれも買いましたが、時間がないので明日にでもまた。
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2007年06月11日

No.399 コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE-0-ENTRANCE

 昨今、ゲームが小説や漫画、果てはアニメになるということは珍しくもない。
 逆も然りで、漫画がアニメや小説になることも珍しくないし、アニメが漫画や小説になったりすることも珍しくは無い。
 要するに人気があるものであれば、様々なジャンルにおいてその作品を楽しめる時代だということだ。
 しかし私は漫画は漫画。小説は小説、アニメはアニメ、ゲームはゲームと言う風に、同じタイトルのものであってもジャンルが違う以上、同系列で扱うことはない。
 アニメにはアニメの、ゲームにはゲームの、漫画には漫画の、そして小説には小説の長所と短所がそれぞれあるわけで、ゲームが面白いからといって漫画やアニメが面白いと言う保証はないわけだ。
 そしてそれらは大抵原作となったものが一番面白い。

 例えば逆転裁判。
 あのゲームは大好きだが、漫画としてはイマイチだと私は思う。
 例えばはじめの一歩。
 漫画は大好きだが、アニメはまぁまぁ、ゲームはイマイチである。
 例えばBLACK BLOOD BROTHERS。
 小説は大好きだが、アニメ化は早すぎてイマイチだった。

 そんなわけで、私は原作は好きだが、それに付随して出来たかのような他ジャンルの作品を好きになったことは、あまり記憶に無い。
 有名作品、ドラゴンボールにしても、アニメ作品は『ため』の時間が長すぎて嫌いだし。

 と、ここまでが前置き。

 CODE GEASS STAGE-0-ENTRANCE.jpg

 そんな私だが、この小説版コードギアスだけはオススメしたいと思った。
 つか、そもそも私がこの小説版を買った事自体が事件である。
 漫画版を暇つぶしに購入し、その日に古本屋に持ち込んでしまったほどのダメ作品。(ごめん、言い切った!)
 そんなことがあったので、アニメ作品以外手を出さないと自分でも思っていたのだが……手にとってしまったのが運のつき。
 書き手が 岩佐まもる氏! という時点でレジに向かってしまっていたのである……。

 岩佐まもるとは? 以前紹介したと思ったんだけど、記事が残ってない……あれ? 紹介したのは前のブログだったか。
 ダンスインザウインド 翔竜伝説 の作者で、馬を竜に置き換えた、競走馬ならぬ、競翔竜の物語を綴った作品を世に送り出したその人で、競馬ファンでありファンタジー好きな私なだけに、ハマるべくしてハマった作品を書いた作者なのだ。
 元々人間ドラマというか、心情を事細かく書くのが巧い人なので、頭ん中でごちゃごちゃ考えるルルーシュなど、様々な感情・陰謀が渦巻くコードギアスの世界を書き綴るにはピッタリの人であると思う。

 この 『コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE-0-ENTRANCE』 では、ルルーシュとスザク、そしてナナリーが出合った頃、つまり子供時代を中心に描かれている。
 ルルーシュとスザクが親友と呼べる関係になったその裏にあった事件。
 スザクの父、最期の侍と言われ英雄視されていた枢木玄武とはどういう人物だったのか?
 そもそもブリタニアと日本が戦争になったのは何故か?
 アニメを見た人なら、全てが一本の線で繋がる裏側の話が丁寧に描かれており、散りばめられたピースがハマっていく瞬間が実に心地よい。

 アニメにはアニメの、小説には小説の良いところがある。
 アニメでは補完しきれない、細かな過去の部分をまとめ上げたこのコードギアスの小説版は、是非アニメを好きになった人に見てもらいたいなぁと思う良作でありました。

 うーん、深いなぁ。
 そして、重いなぁ。
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2007年06月03日

No.392 とめはねっ! -鈴里高校書道部-

 とめはねっ!.jpg

 書くの、忘れてました。ファンのくせに忘れるなよ……。
 そう、私は河合克敏センセの大ファンなのです。

 柔道漫画、帯をギュッとね! で初の連載作品となり大ヒット。
 何かと期待された次回作は競艇漫画、モンキーターン。
 これもアニメ化するなどの大ヒット作品になりました。

 そして少年誌だった上記の2作品に加え、3作目の連載は初の青年誌。
 柔道、競艇ときて今回は文科系、書道を題材とした漫画なのです。
 その名も 『とめはねっ! -鈴里高校書道部-』
 鈴里(すずり)高校――つまり学園モノ!
 やっぱ河合さんの書く学園モノってええわ〜。
 私も小学4年までと、中学の間だけですが書道を習っていたので懐かしさいっぱいです。
 でもな〜、今回の主人公は文科系だけあって暗いのが難点ですな。
 その分周りが女の子ばかりで (書道部って女の子しかいないんだよね、実際) 、明るい子ばっかりですけど。

 書道部の女の子は最初3人。

 部長は書道がとても上手でまじめな女の子、日野ひろみ(ひの ひろみ)。
 見た目は帯ギュのとこにでてきた、フネちゃんかな。性格全然違うけど。
 双子の片割れ、日野よしみは姿も言動もふっちんそのものですが……。

 それから副部長にして登場シーンでいきなり着替えシーンを見られスカートを履かずに主人公を詰問する女の子、加茂杏子(かも きょうこ)。
 見た目、糸目なので帯ギュの斉藤の妹が成長した姿にしか見えません。かなりの長身だけど。
 性格は姉御肌というかなんというか、ナニモノ? な感じの人。

 で、最後の1人は一番美人系な会計、三輪詩織(みわ しおり)。
 見た目でいうなら、モンキーターンの小林瑞木かなぁ。
 小悪魔的存在というか、一番目立たないところにいるんだけど言動が黒く、ワル知恵に長けた口達者。
 口論になると負けない女の子。

 そんな3人の先輩に振り回されるのが主人公、大江縁(おおえ ゆかり)。 
 見た目、というか目の部分がガチャピン。
 見えないけど8年間カナダにいた帰国子女のため、小学生で習字をしたことがないという初心者。
 でも祖母と手紙のやり取りをしていたため字は綺麗という男の子。

 んでもって最後、ヒロインが柔道部との掛け持ちで頑張る初心者、望月結希(もちづき ゆうき)。
 見た目、河合さんのヒロインなので……まぁわかりますよね?
 黒髪ロングヘアーの女の子です。
 主人公が暗いためか、今回のヒロインは武闘派なワケですな。
 いきなり見事な背負い投げを決めてくれてます。ええ、見事に……。

 期待の2巻は秋発売だそうで……うーむ、秋まで長いなぁ。
 ともあれ、とめはねっ! を応援して行きたいと思います。
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2007年06月01日

No.390 P2! -let's Play Pigpong!-

 P2 1巻.jpg P2 2巻.jpg

 ジャンプで好評連載中の卓球漫画、P2! -let's Play Pigpong!- を唐突に購入してみたところ、見事にハマってしまいました。
 この漫画は1巻だけを購入してはいけない。
 2巻まで購入してみてほしいところです。マジで。

 優しいタッチで、ほんわかとした絵柄。
 それゆえメインの卓球シーンの迫力にイマイチ欠ける気もするけれど、この漫画は面白い。
 私の中にあるジャンプの漫画って、みんな異常なほどの超人的な能力をもっていたりするキャラが多い気がするのですが(テニスの王子様とか酷いよね……)、この漫画は今のところそういったところもなく、ある才能をもってはいるが運動音痴な主人公が強くなって行く過程が描かれています。
 スポーツものの基本、スポ根は標準装備です。
 それに卓球のルールも無理の無い方法で説明がされている為、卓球を知らなくても理解しながら楽しめる手法はお見事ですね。
 でもさ、卓球の試合であんなダイビングしてとることって少ないと思うんだよね……。

 P2.jpg

 無茶しすぎです。

 しかし不安なのがやっぱり打ち切り。
 ジャンプってこういう一部にしか人気が出そうにない漫画はすぐ打ち切るからなぁ……。
 掲載順も下の方が多いし、ちと心配です。

 最近良作と感じるものが少ないジャンプ。
 P2のような漫画が長く続いてくれることを期待したいと思います。
posted by BlueTasu at 05:34| Comment(4) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月21日

No.272 ソード・ワールドRPG祭り

 新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT8.jpg 新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz.jpg

 ソード・ワールド関連の本が3冊、20日に発売されたので購入しました。
 最近仕事が忙しいので読めていないのですが……

 サーラの冒険 Extra.jpg

 これだけはファンの意地を見せ、眠気と格闘しなんとか読みきりました。
 短編3つを1冊にまとめた、サーラの冒険の外伝となる1冊で、死者の村の少女という副題は、3話目のタイトルです。

 表紙のデルが黒いこと黒いこと。
 まさに、黒きこと邪悪なるごとし、って感じです。

「カバーはどういたしますか?」

 と店員さんに聞かれ、

「……お、お願いします」

 と思わずどもってしまい、カバーをお願いしてしまいました。
 そんなブラックなサーラ外伝の、各話をちょっとご紹介&感想でも。
(ネタバレはない……と思う。推測はできるかもだが)

●時の果てまでこの歌を
 ザーンの盗賊ギルドでギルドマスターを30年務める、実質ザーンのトップ『虎の涙』のダルシュのお話。
 彼が6巻でサーラに語った、自身が見た『夢』についてのお話です。
 この話はかなり昔、ソードワールド・シアターという著者・山本弘氏が読者投稿により創作していた短編集『熱血爆風プリンセス』 の中に収められていた話。
 私は読んだことがあったので知っていたのですが、(たぶん)加筆されており、クライマックスまでの『溜め』が前より随分利いているような気がします。
 この話のクライマックスの『死闘』は、昔読んで知っていてもたまりませんな。
 サーラがかっこよすぎだ。
 私はこの話を事前に知っていたので、5巻の展開には余計に感じるものがありましたねぇ……。

●リゼットの冒険
 今、本が手元にないんでタイトルはうろ覚え。間違ってたらソーリー。
 内容は……山本さんの趣味が活きてますな。
 話としては6巻の冒頭。マンティコア退治の裏話になってます。
 ハドリー村でキマイラ退治に着いて行き、冒険者となる決意を固めたサーラ。
 そんな昔のサーラを髣髴とさせる活発な少女・リゼットは、同じく冒険者に憧れている変わった女の子。
 ある日、いつものように森を散策していると、マンティコアを発見してしまい、村から冒険者を呼び寄せ、退治に乗り出すことに。
 リゼットは道案内を買って出て、初めて冒険者と共に森へ出かけます。
 そんな憧れの冒険者の中でも、同じくらいの年頃の少年、サーラに興味を覚えていくというお話。
 この頃のサーラの周りには『負のオーラ』が漂いまくってて、まるで別人。
 ラストはもうなんつーか、サーラを殴りたくなったな……無理だけど。

●死者の村の少女
 本のタイトルとなっている3話目は、デルのお話です。
 サーラ、まったく出てこねぇでやんの。
 話としてはデルが5巻のラストに飛び立って、ジェノアのところへ行くまでの話しです。
 もうなんつーか、わかっちゃいたけど邪悪です。
 今までサーラの心情、考えが中心で進んでいたので、デルの内面が書かれることはなかったんですが、ここではそれが書かれています。
 まぁ真っ黒ですが。
 そんな自分を見つめ、否定し、だけどどこかそれが本当だと受け入れている自分がいる――そのもどかしい葛藤が悲しくもあり、少女らしくもあり。
 ラストのジェノアのところへ向かうきっかけとなった展開は、ちょっと微妙でしたが、まぁ面白かったです。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 今はまた眠気を堪えつつ、NEXTを読んでます。
 また機会があれば紹介したいと思います。
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2006年12月17日

No.268 ダイヤのA

 ダイヤのA.jpgダイヤのA 2巻.jpgダイヤのA 3巻.jpg

 最近お気に入りの野球漫画、それが週間少年マガジンで連載中の 『ダイヤのA -エース-』 だ。

 この野球漫画は、よくある 『弱小校が強豪校に立ち向かって行く』 といったストーリーではなく、強豪校の中で主人公がエースを目指して邁進する、といったストーリー。
 選りすぐられた大勢の選手たちの中で、ひた向きに己を磨くことに腐心する主人公、沢村栄純(さわむら えいじゅん)がひたすら熱い。――馬鹿だけど。
 武器は本人も意識せずに投げている、関節と手首の柔らかさから繰り出される、上下左右、ナチョラルに変化するムービングボール。
 本当に意識せずに投げているためか、キャッチボール相手に「キモい」と言われたり、返球した球がランナーを直撃したりといちいち笑える。
 その武器に磨きをかけ、1軍のマウンドを目指す。

 ライバルも面白い。
 降谷暁(ふるやさとる)は一年生とは思えぬ速球を投げる怪物。
 ただ速球だけが武器で、守備やチームプレーが苦手。
 捕手の返球すらグラブで弾くほどの下手っぷり。
 だがそれらを気にせずクールで無愛想な態度は傲岸不遜。
 沢村とどちらにエースナンバーが渡るのか、今から楽しみだ。

 今月、待望の3巻が発売されたばかり。
 物語は(たぶん)まだまだ序盤だろう。
 長く楽しめる作品となっていってくれることを期待している。

(ただ同じマガジンの、はじめの一歩ほど長かったら困るけど(^^;)
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2006年11月20日

No.239 茅田砂胡作品・その1

 スカーレット・ウィザード.jpg

 茅田砂胡氏によるSF長編シリーズ、スカーレットウィザード。
 海賊達の王 〜キングオブパイレーツ〜 の異名を持つ一匹狼の船乗りケリーに奇妙な仕事が舞い込む。
 依頼主は宇宙最大規模の企業、クーア財閥の女王・ジャスミン。
 深窓の令嬢と名高いクーア財閥のお嬢様だが、180cmを裕に超える身長に、鍛え上げられた肉体、そして携帯した大型銃。
 豪胆かつサッパリとした性格は、とてもじゃないが世間の噂通りの令嬢ではない。
 そんな女からの 『合法的な依頼』 は、ケリーの度肝を抜くものだった。

「1年だけ結婚してくれ」

 遺産争いが激化するクーア財閥。
 依頼主の要望は、殺しても死なない男。
 それに該当するのが海賊王として名を馳せるケリーだったのだ。
 しかし宇宙きってのお尋ね者、キングオブパイレーツがこんな仕事を引き受けることはプライドが許さない。
 一匹狼の誇りを賭け、決着は宙(そら)でつけることになったのだが……。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 もし、私が好きな小説家は? と聞かれれば、ファンタジーなら山本弘、推理なら東野圭吾、そして女性作家なら茅田砂胡、と答えるだろう。
 この三者、まったくもって作風が違うのだけど。

 茅田砂胡の作品は、商業紙は全て読んでいる。
 このほかにも面白い小説がいっぱいあるが、それは別の機会においておく。

 このスカーレット・ウィザードのジャンルは、SFハーレクインロマンス、と銘打ってあるのだが、ぶっちゃけ、これは作者の誤った価値観からきたものだ。
 作者曰く、ハーレクインロマンスは、男女が劇的に愛するものであればいい、と思ったらしい。
 でもこの恋愛、ちっとも甘くない。
 甘くないハーレクインロマンスなって存在しない、と担当さんから指摘を受けて途方に暮れたらしい。
 茅田さんらしいエピソードだな、と思ったと同時に、こういう作者だからこそこういう作品を書けるのだな、と納得した。

 このスカーレット・ウィザードの魅力は、全ての茅田作品に言えることだが、キャラクターにあると言っていい。
 型破り、という言葉があるが、この言葉はまさに茅田作品のためにあるようなもので、一般の人々の常識・思惑というものを、彼らは気持ち良く裏切ってくれる。
 無茶の独壇場、大盤振る舞い、と作中で書かれているが、まったくもってその通り――なのだが、やがてそれらがすべて合理的に思えてくるから不思議だ。
 破天荒な行動、そして言動は無茶苦茶だが、合理的。
 他には絶対にない個性、という名の魅力が、茅田砂胡の小説の大きな武器だ。
 確かに個性的ゆえ、独特のクセがある作品だが、読み進むうちに止まらなくなり、いつのまにか茅田ワールドに浸ることになる。
 もちろん私もその一人。
 読んだことがない人、一度でいいから茅田ワールドを読んでほしいなぁ。
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2006年11月07日

No.225 手紙

 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。
 弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。
 しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに 「強盗殺人犯の弟」 という運命が立ちはだかる。
 人の絆とは何か。
 いつか罪は償えるのだろうか。
 犯罪加害者の家族を真正面から描ききった感動の名作。

『手紙』 著者・東野圭吾

 手紙.jpg

 問題作である。
 昨今、悲惨な事故・事件が連日してニュースで取り上げられている。
 その裏で、加害者である家族はどのような生活、思いを強いられるのか。

 差別は当然なんだ。
 犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。
 我々は君の事を差別しなければならない。
 自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる――すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。

 作中、何度も暗い考え、重い現実と考えさせられるセリフが随所に散りばめられている。
 この本を読んだあとに感じたことは、もちろん感動もあったが、それ以上に、これから先の未来に起こりうる人間関係に対して、もの凄く難しい問題を提起した作品だなぁ、と思った。

 兄・剛志が強盗殺人を行ったのは、弟の大学進学へのお金が欲しかったからである。
 そこで家人に見つかってしまい混乱した剛志は、殺人というしてはならない罪に手を出してしまったのだ。
 弟想いの兄ゆえに、弟も苦悩する。
 現実には冷酷な殺人犯、というイメージを塗り固められ、その弟というだけで周囲は壁を作ろうとする。
 だが、人が人としていき行く上で、人との繋がりは絶対不可欠なものなのだ。
 兄の存在を隠し、現実から逃げ出しても、就職、結婚、子供の養育の場で繰り返される迫害からは逃れられない。
 人それぞれ、読む人によって感じ方、受け止め方が違うだろう。
 だけど、この本は 罪と罰 とはなんなのか。
 それを考える、人間が生きていくうえで必要な想像力を換気させてくれると私は思う。
 ゆえに、これが名作であり、問題作と呼ばれるのだとも私は思った。

 ・
 ・
 ・

 そういや今、これの映画も上映されているんだった。

 http://www.tegami-movie.jp/

 ↑こちらがその公式HP。
 小説とはちょっと違うようなところもあるけれど、厚かったテーマは紛れもなく 『手紙』 だ。
 是非機会があれば見て欲しい。映画は知らないんで、できれば小説のほうを(^^;
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2006年10月12日

No.206 エシィール黄金記

 エシィール黄金記1巻.jpg エシィール黄金記2巻.jpg エシィール黄金記3巻.jpg エシィール黄金記4巻.jpg

 今まで気になりつつ手を出さなかった作品。ファミ通文庫より発売し、すでに完結している 『エシィール黄金記』 を、図書館で発見したので借り、読破いたしました。
 まぁ買ったんじゃなくて借りちゃったところが アレ なので、せめてここで紹介しておこうと思います――売り上げに貢献することはないでしょうケド(^^;

 国を失った王子が祖国を取り戻すために流浪の身となり戦う。

 そんなテーマな小説やゲームはよくあるように思います。
 私の思い出せる限りでは、小説ではデルフィニア戦記とか、とか……だめだ、あと思いだせん!(早ッ!) ゲームでは ファイアーエムブレム がそうですね。オウガバトルも主人公ではありませんが、そういうキャラが出てきますし、ドラクエ2、4、5、8もそうだと言えるでしょう。(6,7はやってないのでわかりません)

 しかし、戦い、特に大規模な戦争となると犠牲者はつきものです。
 世にある主人公が 「平和のため」 に 「戦って勝つ」 という手段に不満を持った エシィール黄金記 の著者、葛西伸哉氏は考えました。
「流浪の王子が商人になり、経済力で侵略者に立ち向かう物語」 を書こう、と。
 著者・葛西伸哉氏の初となるシリーズ長編は、商人として祖国の復興を志す王子、という異色の小説として世に送り出されました。
 
 本編はライトノベルというだけあって、架空世界を舞台に展開されていきます。現実の歴史等に縛られない、制約されないのが特徴で、それゆえに主人公の青臭い理想を現実とすべく、商人なのに利益を超えた目的のために仲間が集まるのはまさにファンタジー。
 現実では、歴史上ではありえない展開、歴史だからこそのライトノベルといえるのではないでしょうか。
 そういう意味で、ライトノベルは安心して読めるから好きなんですよね。バッドエンドが嫌いですから。

 この作品、面白い?

 と聞かれると、読み手は選ぶが、私は面白いと思う――と答える事にします。
 で、そう言うと必ず、

 どう面白いの?

 と聞かれます。この説明が難しい。
 ご都合主義的な展開や、ラストの急展開など、必ずしも風呂敷をうまくまとめあげた、とは言えないのですが、着目点の目新しさと登場キャラクターたちの魅力によって一気に読みきってしまう力がこの本にはあるんですよね。
 なので、これはやはり著者である、葛西伸哉氏の文章が 「上手い」 ということに尽きると思います。

 お気に入り度 ★★★☆☆  文章力 ★★★★☆  オススメ度 ★★★☆☆

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2006年09月28日

No.194 DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

 DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件.jpg

 仕事上のミスにより停職中のFBI捜査官、南空ナオミの元に、突然 L を名乗るものからメールがあった。捜査機関に身を置くものとして知らぬことは許されぬ名前 L からの突然のコンタクト。
 何故私に?
 これは後にロサンゼルスBB連続殺人事件、と呼ばれるようになる、 L と南空ナオミがコンビを組んで解決した事件の物語。
 そしてこれは、L が初めて「竜崎」という名を使用した初めての事件である。

 原作も完結し、映画はもうすぐ後半が上映されることになっているデスノート。
 L 派と公言している西尾維新氏が、その魅力を120%引き出したのが本作です。L の話ですので、ライトやデスノート、死神などは一切でてきませんが、これは紛れもなくデスノート。キャラの特徴とその魅力が随所に光る、ファンなら誰もが楽しめる小説です。

 犯人は最初からわかっており、それを L と南空ナオミの2人がその足取りを追う、という展開ですが、最後のどんでん返しというか、ミスディレクションが秀逸。これ、絶対ひっかかりますね。

 南空ナオミは本編ではレイ・ペンバーの婚約者として登場。2巻でライトによってサックリとお亡くなりになってしまうキャラなんですが、まさかこんな面白いキャラだったとは。行動力があるのはわかっていましたが、さすが日本人女性でFBI、という無茶な設定だったというだけあるな、って感じです。

 本作は L の後継者であったメロが、L から聞いた事件を語るという設定。
 サラっと触れてありましたが、L がメロに語った事件は3つあったそうで、1つはこの本作の事件。もう2つは、バイオテロ事件と L とワタリが出会ったウィンチェスター爆弾魔事件(当時 L は8歳!?) があるそうです。つまり、残り2冊はでるのかな? 出たら必ず買います。

 でも8歳の頃の L って想像すると怖いね……。

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2006年09月17日

No.182 緑山高校

 スポ根漫画といえば野球――というほど日本には野球漫画が数多くある。
 そして一口に野球漫画と言ってもその種類は様々で、有名なのは高校生という青春時代と絡めたタッチやH2といった 『あだち充作品』だろうか。
 あと私が幼い頃に愛読していた野球漫画といえば、基本ともいえる 『ドカベン』 もだが、名門高校の三軍が、一軍チームに挑む 『第三野球部』 とか、沖縄出身の中学生が東京へやってきて活躍するアイデアと笑いに満ちた作品 『わたるがぴゅん!』 などが好きだった。
 それから最近好きなのは、ほんわかとした絵柄ながら、各選手の心理状態や感情の起伏を描いた新しいタイプの野球漫画 『おおきく振りかぶって』 という作品。これは野球好きには一度は読んでほしい作品だ。

 で、今回紹介するのは上記のどれでもない、とにかく笑える。ありえない野球とキャラクターが魅力の野球漫画 『緑山高校』 である。

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 緑山高校は、80年後半ばから後半にかけてヤングジャンプで連載されてきた古い漫画で、今では絶版。普通の本屋では手に入りません。なのに紹介するのは、やっぱ面白いから。
 まぁ絵がホント 『濃い』 ので、慣れない人にはダメかもしれませんが。
 ちなみに緑山高校は、コミックスで20巻、そしてアニメ版もレンタルショップや今年末にDVD-BOXがついに発売されるそうで、そこで観る事ができます。
 原作のコミックスも面白いのですが、このめちゃくちゃぶりを見事に再現したアニメのほうが私は好きです。原作よりアニメのほうが好きっていう作品はこれだけかも。

 この緑山高校、設定からして「ありえねー」の一言。
 創立1年目、つまり野球部員が全員一年生の緑山高校は部員12名。
 全員に共通して言えることはただひとつ。目立ちたがり屋、である。
 そんな彼らは、ただただ目立ちたいためだけに、創立1年目にして地方予選を制し、甲子園行きの切符を手に入れてしまうところから物語が始まります。

 主人公・二階堂はその中でも一際目立つ存在で、プロフィールの身長198p、体重110sというだけでも彼の怪物ぶりがよく現れています。つか、15歳とは思えん。ポジションは投手で、球種はストレートしか投げれないのだが、その球速が桁外れで、180km以上 という、もう虚ろに笑うしかない剛速球ぶりです。ちなみに日本記録は横浜のクルーンが記録した161kmなんだけどね。

 二階堂の速球.gif

 はい、キャッチャーミットが煙を上げてますね。いやー、とんでもない速球です。 ちなみにこれは序の口で、本気になると捕手と審判ごと後方に吹っ飛ばしてしまいます。

「だからこの試合の球審をやるのはイヤだったんだ……」

 吹っ飛ばされながら呟く審判さん。そりゃそうだ。身が持たん。
 そして二階堂の怪物ぶりはピッチングだけじゃない。バッティングも桁外れ。
 打席に入れば三振かホームラン、という当たれば場外必死の怪力ぶり。そりゃ180kmオーバーの速球を投げるんだから、あの怪力ぶりも納得――できるか?
 甲子園では確か10本のホームランを放つのですが、最後の1本は数ある野球漫画のホームランの中でも、最高にファンタスティックで爆笑ものの1本です。最高! ドカベンの岩鬼はピッチャーの股間をぬけた球が、バックスクリーンに飛び込むという荒わざを見せましたが、これはそれを数十倍も上回る一撃。
 是非アニメ版を観て欲しいなぁ、と思います。絶対笑うから。

 二階堂ばかりが目立つ緑山高校ですが、その脇を固めるナインも充分個性的。
 二階堂の女房役、捕手の闘魂・犬島。180km超の速球をキャッチングできる唯一の人。
 闘志・漢気溢れるプレイでバッティングも大活躍。明らかに格上の投手に対し、無類の勝負強さを発揮します。
 それよりもなによりも、犬島には笑いの神が降臨しているとしか思えない。
 個人的には二階堂をタオルで首を絞め、殺人未遂一歩手前まで落としてしまったくだりが最高でした。彼ら、いつも本気なんだもんなぁ。

 キャプテン・花岡。トイレに行って帰ってきたらキャプテンになっていたという、なんとも彼ららしいエピソードの主。
 サードで4番(ただし打順はジャンケンで勝ち取ったもの)、そして正義感溢れ、メンバーで唯一といってもいい常識もある人で、普通のまんがなら間違いなく主人公のカッコいい人。
 ジャンケンで決めたわりに、4番としてホームランもいっぱい打ってるし、サードの守備ではファインプレイを連発するしでチームに欠かせない存在。
 だけどなー、上の二人が目立ちすぎなんだよね。ちと可哀想な奴です。

 二階堂・犬島・花岡の3人が主な緑山高校のメンバー。
 他にも意外性の緑山、という作中の呼称に相応しく、脇役たちが本当に意外に活躍することがあって、それがまた笑いに繋がっているんですよね。
 なかなか先が読めない、ホントに意外性に富んだ馬鹿野郎集団(褒め言葉)、緑山高校は野球を知らない人も、一度は読むか観てもらいたい作品だなぁ、と思います。

 ビデオ版なら、TSUTAYA ならあると思うんですけどねー。


 ――――――――――――――――――――――――――――


 動画をチェックしたら、ありましたよ、緑山高校のエンディング『遅れてきた勇者たち』の歌とともに躍動する彼らの勇姿が!(主に二階堂のピッチング)

 http://www.youtube.com/watch?v=-7MV2N8LXNw&mode=related&search=

 これだけでも笑ってしまうのは私だけでしょうかねー?
 この面白さ、絶対誰かと共有したいんだけどなー。

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2006年09月11日

No.177 帯をギュッとね!

 帯をギュッとね!.jpg

 私は小説も漫画も色々読んできたので、大好きな作品は何? と聞かれればたくさんありすぎて返答に困るものの、まず最初に挙げてしまう作品のひとつが、帯をギュッとね! です。
 連載が終了してもう10年になるので、今更だなー、とか思わないでもないのですが、面白い漫画というのは何度読み返しても面白いもの。
 たまにはこういう昔の良き漫画の話にでもお付き合いくださいませ。

 帯をギュッとね! 通称 『帯ギュ』 は柔道漫画。
 従来のスポ根柔道漫画とは違い、ギャグを交えたストーリー運びで誰もが楽しめる作品です。
 柔道といえば、汗臭く、そして地味なイメージが付き纏うのですが(そしてそれは真実)、この作品はとっても爽やか。
 これはキャラクターたちの性格もありますが、進学した高校に柔道部がなく、自分たちで新たに部を設立したため上級生がいない。つまり運動部につきものの上下関係がまったくないことが成功の要因ですね。
 だからキャラたちが活き活きとしている、いや、していられたわけです。

 あと、柔道モノですが、作者自身が柔道部出身というだけあって技の解説がついており、とてもわかりやすいのが特徴。
 私みたいに家に道場があって、柔道をやっている人間にはわかっている当たり前の説明を、軽いノリで説明してくれるのは素人の方にはありがたいでしょう。
 柔道は個人の戦いですが、作中ではチームでの団体戦がメインで、個性豊かな5人の柔道が本当に面白い。

 背負い投げと一本背負いが得意で、柔道大好き、強い敵ほど燃えてくる、という絵に描いたような主人公、粉川巧(こがわ たくみ)。
 火の出るような攻撃、と作中で書かれていたように、とにかく一本を狙って攻めまくる姿勢は見ていて気持ちがいいです。

 内股やすくい投げ、返し技が得意なギャグ要員、杉清修(すぎ せいしゅう)。
 実家が寺のためスキンヘッド。安定した強さをもっているのに、同階級に怪物がいたため全国大会とは無縁で終わる不遇のキャラでした。
 それゆえ、桜子とくっついてほしかったなぁ、とか思ってましたが、結局進展は全然しませんでしたねぇ……。

 得意技多数、寝技も大得意の糸目、斉藤浩司(さいとう こうじ)。
 5人の中では一番の良識派で、柔道を愛する姿勢は主人公、粉川と良い勝負。
 実力は折り紙つきで、主に副将を務めていた。
 豊富な柔道知識で、試合中にアドバイスをしたり解説役をこなしたりするキャラでした。

 得意技は巴投げや一本背負い、背は小さいけど気は強い、宮崎茂(みやざき しげる)。
 柔道はボクシングなどと同じく、身長と体重が有利・不利に響くのですが、彼は団体戦で軽量級として出場するだけあって大きい相手とばかり試合していました。
 なので不利な状況になることが多かったのですが、スピードと気迫で向かっていく姿は、同じ軽量級だった私とダブることがあってか、一番のお気に入りキャラでした。
 調子にのってポカするところや、河津掛け(超反則技)を知らずにぶちかまして負けになったりするところもなんかダブるし……。

 大外刈りや払い腰が得意な重量級、195cm110kgという恵まれた体格ながら気が小さい三溝幸宏(みつみぞ ゆきひろ)。
 気が小さいとは言っても彼は柔道選手。指を脱臼するというアクシデントに見舞われながらもそれに耐え、試合に臨んだ闘志溢れる姿には熱くなりました。

 他にも近藤保奈美(こんどう ほなみ)、海老塚桜子(えびづか さくらこ) といったマネージャー(桜子は後に選手となったけど)がいて、彼女たちも――特に桜子は読者人気も高く、面白いキャラでした。
 でも桜子の柔道は、なんか姉とダブるところもありましけどね……。
 
 その後、加入してくる後輩たちや指導者、他校のライバルたちとの絡みも面白く、ああ、こういうのをキャラがたってるって言うんだなぁ、と唸らされた作品。
 それが帯ギュです。

 今読み返しても面白い柔道漫画。
 YAWARA! も好きでしたが、柔道漫画といえばやっぱり帯ギュッが一番好き。
 もし読んだことがない、という方は、柔道、という二文字にとらわれず、一度は読んで欲しい作品です。

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2006年09月05日

No.169 消閑の挑戦者3 ロスト・エリュシオン

 消閑の挑戦者3 ロスト・エリュシオン 扉絵.jpg

「もう着くで、いるる。正気に戻ってや」
「む、そうか。……いよいよ私に脱げというんだな」

 ――――――――――――――――――――――――――――

 消閑の挑戦者3 ロスト・エリュシオン.jpg

『消閑の挑戦者3 ロスト・エリュシオン』

 夏休みもそろそろ終わりにさしかかったある日、小槙と春野は従姉妹のいるるの手伝いのため、混沌の街・アウルスシティへ。
 大学の研究所の手伝いとして呼ばれたいるる。
 そこでの研究とは、人間の脳をいじり超人を作り出すものだった……。
 脳をいじるという行為は許されるのか、許されざるものなのか?
 小槙はPCのチャットを介し、初めてとも言える友人を得、そしてその隠された裏側を知る。
 今までになかった感情に戸惑い、迷う小槙だが……。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 扉絵に魅了され買い始めたライトノベル、消閑の挑戦者シリーズの第3弾。
 毎回異なるテーマを元に頭脳戦が展開される。で、今回のテーマは「脳」
 今回はヒロイン、鈴藤小槙の従姉妹、いるるが登場。
 登場人物の「濃さ」も増し、絶好調のこのシリーズはやっぱり面白い!

 小槙の言動が霞むほどの弾けすぎたキャラたち。
 特に小槙の従姉、いるるが強烈。小槙、春野を交えた3人の会話は特筆モノ。
 ――というわけで、今回もその特筆モノの会話を抜粋したいんだけど、一体どのシーンを抜粋するか迷うところ。
 まぁ無難に最初のシーンを抜粋しますかね。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 小槙といるるの2人がドッジソンという喫茶店のオープンカフェでの会話シーン。
「小槙、キミはほんとうに友達がいないのかい? ……えーと、じゃあ彼だ。ほら、キミが果須田裕杜のゲームでペアを組んだとかいう同級生。ついこの前も、灰火秋島でいっしょだったんだろう?」
「……」
 小槙は偶然の積み重ねにより、果須田裕杜のゲームと、灰火秋島の事件の中核に関わることとなった。そして、小槙のそばにはいつも彼の姿があった。
 同級生。
 挑戦者。
 そして――パートナー。
 小槙は、彼をどう表現すれば良いのか、わからない。どれも当てはまるように思え、しかしそのどれもが彼の本質を表していないようにも思える。
「知らへん。誰のことやろう」
 小槙はきっぱりと言い放った。コーヒーを口にしつつ、無表情にいるるから目をそらす。
「あれ? いや、確かに聞いたぞ。私の記憶力をナメないでくれ。名前は、確か……あれ? なんだったかな。言ったそばからド忘れだ。春……春……ああ、ダメだ。前言撤回、私の記憶力なんてこんなもんだ。力一杯なじってくれ」
「いるるはダメやなぁ」
「ああ、ダメだ。私はダメなヤツなんだ。いっそ思いきり殴ってくれ。むしろ慰めてくれ」
「どっちやねん」
 頭を抱えてノートパソコンの上に突っ伏す従姉妹の頭を、適当に撫でてやる。
 すると小槙は、歩道に見覚えのある顔を見つけた。
「春野くん」
「そう、それだ。春野祥。高校一年生の十六歳――ん、どうした、小槙? 首がヘンな方向にねじ曲がっているぞ」
 可能な限り、歩道から顔をそむける小槙。そんな彼女と歩道を見比べ、頭の良い従姉妹は事態を理解したようだ。いるるが、歩道に向かって手を挙げた。
「ヘイ、春野祥!」
 タクシーを呼ぶかのごとき従姉妹の声が、小槙の肩を震わせた。
「ん?」
「振り向いたな。そう、キミだよ。キミが春野祥か、なるほどね。ちょっとこっちへおいで。綺麗なお姉さんとお喋りしようじゃないか」
「誰だ、アンタ? ……あ、鈴藤さん」
 聞き覚えのある、良く通る声が背後から聞こえた。
「ちゃいます」
 歩道を見ないようにしたまま、小槙は言った。だが、それもすぐに無駄な抵抗に終わる。
 木製の柵を越えて忍び寄った手が、小槙の頬に触れた。
「いひゃいいひゃい、ほめんなはい。ふほふいへほめんなはい」
「やっぱり鈴藤さんじゃんか」
 頬をつねられ、強引に振り向かされた小槙の前に、少年の笑顔があった。
 春野祥。
 小槙のクラスメートにして、最近になって何かと縁のある少年だ。縁とはいっても、それらの多くがトラブルを伴うものだったが。こちらの迷惑も考えずに頬をつねるというクセをもっているため、小槙は彼のことが苦手である。
「訳そう。彼女は“痛い痛い、ごめんなさい、嘘ついてごめんなさい"と言っている。まあお手柔らかに頼むぜ。鈴藤一族は体が弱くてね。普段から天地無用、壊れ物注意の札をはっつけて歩きたいくらいなんだ」
「アンタは?」
 祥が小槙から手を離し、柵の上で腕を組む。いつものことだが、小槙に対する謝罪はない。
「私も、鈴藤さんだ。つまり、私も鈴藤一族の、小槙とは四親等離れた親族にあたる。もっと端的に言うなら、小槙の従姉妹だ。いるるという。以後よろしく、春野祥くん」

 ――――――――――――――――――――――――――――

 ここで鈴藤小槙と春野祥といるるが出会い、物語が始まる。
 以上、毎度の冒頭シーンからの抜粋(一部改変)でした。

 これ、日付を調べたら1年以上前に発売した本だったりする。
 現在この3巻まで出ているわけですが……伏線らしきものが張られ、これから物語が面白くなっていくような予感を孕んだ終わり方。
 4巻は一体いつでるのか!? 気になるじゃないかー!!

 早く新刊でますように。
 祈りながら消閑の挑戦者シリーズを追いかけていきたいと思います。

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2006年08月29日

No.161 消閑の挑戦者2 永遠と変化の小箱

 消閑の挑戦者2 扉絵

「いただいて、よろしいんですか?」
「うん、せーの、で投げるんやで」

 ――――――――――――――――――――――――――――

 扉絵を気に入って読み始め、ハマったライトノベル、消閑の挑戦者シリーズ。
 1巻しか買わなかった私は苦労して2巻を探し出し、一気に読破してしまいました。
 やっぱりこれは面白い!!

 消閑の挑戦者2 永遠と変化の小箱

『消閑の挑戦者2 永遠と変化の小箱』

 完璧な王、パーフェクトキングを倒した鈴藤小槙(すずふじこまき)と春野祥(はるのさち)の2人はそれぞれ夏休みに突入した。
 鈴藤小槙は灰火秋島(うたびしとう)に住む科学者、アキヒコの招待を受け、超大型船“うてな" の乗客となり、春野祥もチェスの世界戦が行われる うてな に乗り込んだ。
 順風満帆のクルージングだったが、その平和は長くは続かない。
 船が凶悪な武装集団に占拠――シージャックに遭遇してしまったのだ。
 小槙は辛くも船を脱し、灰火秋島へと到着するが、そこにもシージャック犯の仲間、魔兵“狂戦士”が乗り込んできて……。

 前作のパーフェクト・キングとは全く趣の異なる物語。
 サスペンスな今作は、月並みな表現になるが、手に汗にぎる白熱の展開となった。

 ――それよりも

 やっぱり面白いのが、ヒロイン鈴藤小槙のセリフの数々。噴出しそうになって思わず頬が緩むね。
 抑揚のない受け答えしかしない小槙なんだけど、それが あずまんがでいう大阪みたいで面白い。つか、関西弁だし、大阪そっくりだなぁ……。
 今回も春野祥との駆け合いを一部抜粋。

 ――――――――――――――――――――――――――――

「あっ」
 体育館から出ようとしたところへ、大勢の生徒が押し寄せた。小槙は上級生に押されて壁にぶつかりそうになってしまう。
 小槙の手首を、誰かが掴んだ。
「大丈夫、鈴藤さん?」
 いつのまにか、春野祥がとなりにいた。壁に手をかけ、小柄な小槙を人混みから守っている。
「体力ないうえにちっちゃいんだから、空いてからでてくればいいのに」
 嘆息混じりに言う少年は、いつも小槙と同じ教室でふざけあっている姿と変わらない。喋り方も同様だ。わずかに茶色がかった瞳が印象的である。
「ほら、ちゃんとついてこいよ」
 言って、小槙の手を引いたまま歩いていく。
 大勢の生徒たちが入り交じる中、祥はまっすぐに進んでいく。これだけの人数がいるのになぜ直進できるのか、小槙には理解できなかった。他の生徒たちが彼のために道をあけているのだろうか、とすら思う――。
 そこまで考えたところで突然、頬を激痛が襲った。
「鈴藤さん、聞いてるのかよ!」
 自分の名前を呼ばれて、我に返る。春野祥が両手で、彼女の頬をひっぱっていた。
「いひゃいいひゃい、はふほふん、はへへー」
 どうやら自分は春野祥を凝視したまま、固まっていたらしい。
 “痛い痛い、春野くん、やめてー”という抗議が聞こえたのか、祥が呆れた顔で小槙から手を離して嘆息する。
「ったく、妄想にふけるのもいい加減にしろよ。人の話くらい、ちゃんと聞けよな」
「イジメや……これは間違いなくイジメやで。あかん、涙出てきた」
 頬をさすって涙を浮かべる小槙を、祥は謝るどころか困った顔で見つめている。
 そこではじめて、小槙はそこが教室でないことに気がついた。
 二人がいるのは、校舎の端にある正面玄関だった。他の生徒たちは皆、それぞれの教室に向かっているのだろう。廊下の先からざわめきは聞こえるが、下駄箱が置かれている周囲に人気はない。小槙と祥の二人きりだ。
「ここ、教室やないで」
「見りゃ分かるだろ。つーか、いま気づいたのかよ」
「どうして、こないなとこ来たん?」
「……やっぱり聞いてなかったな」
 小槙がたずねると、祥は嘆息した。小槙は超能力者ではないが、少なくとも自分に第六感という特別な感覚があることを確信した。
「やっぱりええわ。イヤな予感が――」
「鈴藤さんさあ、明日から二週間くらい時間とれない?」
 小槙の拒否を完璧に無視し、祥は笑顔で言う。
 明日から、というのはつまり、夏休みがはじまってから、という意味だろう。
 小槙は無表情のまま、首を傾げた。祥がなぜ唐突にそのようなことを言い出したのか、理解できない。
「どうして?」
「俺と、ちょっとした旅行に行かない?」
「百パーセントあり得へん」
 考えるよりも先に、本能が返事をした。
「ほな」
 またほっぺたをツネられないうちに退散しようとした小槙の眼前に、祥の腕が伸びる。祥が壁に手をかけ、小槙の行く手を塞いでいた。小槙の脳裏に、いつか見たドキュメンタリー番組の、ライオンに仔鹿が捕食されるシーンが思い浮かんだ。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 以上、ちょっと会話シーンが少ないけど、冒頭のシーンからの抜粋でした。
 この後が面白いんだけど (祥にデコピンされた小槙が廊下にうずくまりながら、「……さ、殺人未遂や……しゃれにならんで……」 などと呟くのとか)、まぁそれは読んだ人だけの特権ということで……。

 3巻まで発売されているそうなので、また頑張って探そうと思います。


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2006年08月23日

No.154 消閑の挑戦者 パーフェクト・キング

 消閑の挑戦者 扉絵

「いひゃいいひゃい、いひなりなにふるのん?」
「どうして人の顔を見ているのかなって聞いてんだけど?」

 ――古本屋で何気なくとった小説の扉絵と、下の会話文に惹きつけられてしまいました。
 カフェテラスで女の子のほっぺたをつねる少年。
 つねられて涙目で抗議をする少女。

 ……なんか楽しそうだ。

 私がこの本を手に取り、購入を決めたのは、ある意味一目惚れにも近い感覚でした。

 消閑の挑戦者 パーフェクト・キング

 『消閑の挑戦者』 (しょうかんのちょうせんしゃ) という題名のライトノベル。

 天才少年・果須田裕杜(かすだゆうと)が主催する究極のバトル・ゲームに世界中から集められた2人1組のプレイヤーたちは、防御人(ディフェンダー)なる殺人者集団を撃退してプログラムを入手しつつ、制限時間内に困難なイベントをクリアしなくてはならない。
 この狂気のゲームに巻き込まれた(というか自業自得)高校生、鈴藤小槙(すずふじこまき・扉絵左の少女)は、パートナーである春野祥(はるのさち)と離れたまま、小槙の幼馴染である果須田裕杜に挑んでいく。

 以上、簡単なストーリーっぽいもの。
 ライトなものを期待していたら、内容は頭脳戦と格闘戦の両方がミックスされたハードな内容のバトルロワイヤルな1冊でした。
 ちなみにタイトルの 消閑の挑戦者の消閑とは、暇つぶし、という意味。
 つまり 『暇つぶしの挑戦者』 という意味になるわけです。
 どういうこと? というのは、例によって読めばわかります、ということで。

 この本の魅力は、印象通り登場人物――特にヒロインにあり。

 春野祥は成績・体力・社交性ともに抜群の優等生。(というわりに言葉遣いなどは粗野だけど)
 何でも自分で決める、決断力に富んだ少年だ。
 対してそのパートナーである鈴藤小槙は何故か関西弁を喋る少女。
 学校での成績・体力・社交性ランキングでワースト1の三冠王。
 決断力がなく、何でも疑問ばかりを口にする女の子だ。

 ある意味お似合いの二人。
 期待通りというかなんというか、この扉絵二人の会話はとても面白かった。
 以下、ちょっとだけ抜粋。

 ――――――――――――――――――――――――――――

「……なんで俺の顔じっと見てんの?」
 鈴藤小槙は何も言わない。
 小槙とにらみ合ったまま、祥は両手を伸ばす。瞬間冷凍されたかのように固まったままの小槙の頬を引っ張る。
「いひゃいいひゃい、いひなりなにふるのん?」
「どうして人の顔を見ているのかなって聞いてんだけど?」
「ほへんなはい、ほへんなはい、はへははふへてー」
 訳すと "ごめんなさい、ごめんなさい、誰か助けて" らしい。
 祥が手を離すと、小槙は大きな瞳に涙を浮かべてうつむいてしまった。
「……なんで被害者のあたしが謝らなあかんねん。不条理や。告訴したろか、ほんまに」
「で、何で俺のこと見てたの? 惚れた?」
「有り得へんわ。春野くんは、どうして他人に意地悪するんやろ思ててん」

 ――――――――――――――――――――――――――――

 てな感じ。ちょうど扉絵のシーンですね。
 後半、敵の考えとかが理解し難いものがあったり、この二人のかけあいがナリを潜めてしまったりと、そこらへんがちょっと残念でしたがこの鈴藤小槙のセリフがイチイチ面白い。
 つか、関西人なのに、なんだか関西弁が新鮮に思えるのが不思議。
 2,3巻と続刊があるようなので、ちょっとこれから先を期待して見守りたい作品です。

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2006年07月21日

No.115 感無量

 感無量。

 ただその一言に尽きる。
 私はサーラの冒険に出会えてよかったと――心の底からそう思った。

 運命とは?
 罪を償うにはどうすればいいのか?

 昔、初めて読んだ頃はサーラと変わらぬ年齢であった私も、今ではダブルスコアをつけるくらい年齢を重ねた。
 サーラは私よりも半分ほど、というかちょうど半分の13歳という年齢なのだ。
 だというのに、サーラは私なんかより遥かに自分を、信念をしっかりともっていて、行動力には溢れ、知性に富んでいた。
 諦めて、挫折して、投げ出して、自暴自棄になってもおかしくない難問とも命題ともいえる2つの問いに、見事自分を貫き通して答えを出した。

 15年前、1巻が出た際のサーラは普通の子供だった。
 だけど、今、最終巻で彼は英雄となった。

 王道ともいえるストーリーだったかもしれない。
 だけど、私はその展開に何度も驚き、かつ深い感銘を受けた。

 6巻.jpg

 ヒーローになりたい、というタイトルで始まった物語は、やっぱりヒーローになりたい、というタイトルで完結した。
 今全てを読み終えたが、また一から読み直したい。

 誰にでもお勧め出来る、良作がここに完結した。

 ―――――――――――――――――――――――― 

 ちなみに7月はソードワールド祭り。
 ソードワールド関連の本がサーラを含めて4冊刊行された。

 sw.jpg

 こんな感じ。
 今日はそれを読むのに忙しいので、このへんで。


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2006年07月20日

No.114 サーラの冒険 発売前夜

 パワプロ13をしながら、つよきすを再プレイしています。
 つよきすというのは説明不要だと思うけど、ツンデレという属性の娘さんばっかりなギャルゲー。
 軽快かつセンスの良いトークが飛び交う、なかなか面白いゲームです。
 で、このゲームをしていてふと気付きました。

 ――ああ、デルもツンデレ属性だよな、と。

 デル、というのはこの間紹介したサーラの冒険にでてくるヒロインのこと。(7/10 No.104参照)
 私が今月、最も楽しみにしている本で、明日発売し、完結を迎えるのは前回言ったとおり。
 明日完結編を読むんだ……と感慨深げに思い返してみると、ヒロインのデルもツンデレ属性だったということに気付いたのです。

 だからどーした?

 いや、実際どーもこーもないのですが、私がこれまで色んな小説を読んできたなかで、このデルという娘さんが一番のお気に入りだったのです。
 そんな大好きなデルが、今までツンデレさんだということには、まったくもって考えが及ばなかったのです。

 私はツンデレというのは否定派でした。
 なんつーか、超がつくほど身近に、とんがりまくった、人かどうかもわからない人物がいるからです。
 だから私の理想はそれとは逆に

 女性はしとやかであるべきである

 的な考えだったのです。
 なのに、ツンデレ属性さんたちしかいない つよきす にこれでもか、というくらいツボを突かれまくりましたし、大好きだったサーラの冒険のヒロイン、デルもその属性だったことが判明。

 ――もしかして、いつのまにか趣味変わった?

 いや、変わったというのはおかしいな。だってサーラは15年も前から読んでるわけだし。
 じゃあ元々こういう娘が好きだったのだろうか? 
 少なくともその素養はあったんだろうなぁ……。
 そう結論せざるを得ないようだ。

 う〜ん、今頃新たな自分に気付かされるとは……人生日々勉強(?)だねぇ……。

 ちなみにさっきから言ってる デル の魅力とは?
 最初、主人公であるサーラに対して、というか周囲に対してすごく無口で、何を考えているのかさっぱりわからない子なのですが、その理由がとある事件で明らかになります。
 そこから彼女の過去だとか、今まで抱えてきた秘密なんかがボロッボロとでてきてしまいますが、それを共有し、理解してあげたのがサーラなわけです。
 こうやって彼女はサーラに対し恋愛感情、いわゆるデレの部分に移行して行くわけですね。

 ……なんかこうやって書くと、すごく安っぽく思えてきた(^^;

 とにかく私的に大好きなのが、3巻のラストのワンシーン。
 主人公の胸にすがりついて大泣きし、感情を吐露する場面。
 今思えば つよきすのよっぴーと重なってるような……。

 これ以上はネタバレ、というかもう十分ネタバレになってる気がしないでもないが、残りは最終巻を読んだあとにでもしたいと思います。

あと、気付いたこと
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