2007年06月23日

No.408 好きになる理由

 姉が結婚するという衝撃ニュースから早3日。
 なにかしら起こるのではないかと毎日気が気ではないのだが、今のところ大規模な戦争の気配や、大地震やハリケーン、ゴジラ出現などのニュースもない様子。
 とりあえず当の本人たちに連絡を取らなければ ネタにならない 話にならないと思い、姉にするか太郎くんにするか、少々悩んだものの太郎くん家に電話することにした。
 太郎くんは例の事件以降、我が家で柔道を習いに来ている顔見知り。
 とはいえ、携帯番号を交換しているほど仲が良いわけではないので、小学校のアルバムを引っ張り出して電話番号を検索する。
 すると、そのアルバムに興味津々なご様子のハルちゃん。

「な、なにか?」

「見たい! ブルーさんの小学校のアルバム見たい!!」

「いいけど……」

 実はハルちゃんには中学と高校の頃のアルバムは見せたことがあるが、小学生時代を見せたことはなかったりする。
 なぜか?
 それは最後のフリースペースに書かれた寄せ書き部分が大問題だったからである。

 どうか見つかりませんように……。

 電話番号はもうメモったのだが、電話もできずにただただ祈る。
 が、やっぱりその祈りは無駄に終わったのであった……。

「……ブルーさん? この寄せ書き、ナニ?」(超こわ〜い声で)

「そ、そんな声出して聞くなよ……」

「『いつも頑張っているブルーさんが好きでした。中学でも頑張ってね』って、なによこれっ! 思いっきり告白されてるじゃん!!」

「だねぇ……」

 私が一番モテた時代は、実は小学生の頃だったりする……。
 背は低いけど、自分で言うのもなんだが可愛い顔した私が、クラスの委員長を3年間務め、野球でも頑張っていた。
 勉強もそこそこできたし、田舎ゆえに20数人の1クラスしかなかった我々なので、これまた自分で言うのもなんだがモテる要素は揃っていたというべきでしょうかね?

「だねぇ、じゃないわよ! どうしたの? この子とどうしたのよ!?」

「どうしたもなにも、この寄せ書きに気付いたの、家帰ってからだし」

「帰って気付いて、どうしたのよっ!」

「……姉にも見られて殴られた。『色ボケのクソ餓鬼がっ!』って言って」

「……そ、そう」

「そんな感じやから、当然付き合うとか無理だし、その頃は小さいから恥ずかしかったし、見ないフリした」

「そ、そう。ごめんね、また古傷えぐっちゃって」

「いや、いいよ……」

 妙にしんみりした。

 ――――――――――――――――――――――――――――

 というわけで、気を取り直して太郎くんに電話してみた。

「おう、久しぶり!」

「久しぶり。『義弟』 と呼んだほうがいいか?」

「こっちも『義兄』って呼んだほうがいいか?」

「違和感あるからいいや……」

「だな」

 と言った感じで会話スタート。
 早速聞いてみた。

「で、なんで結婚することに……」

「なんでって、好きやからにきまっとるやん。恥ずかしいこと言わすなよ」

 どどーん……。

 そりゃまぁ好きじゃなけりゃ結婚しないと思うけど、姉のことだからどうせ何か弱みをついたとか脅迫したとか色々あったんじゃないかとか推測していたのだが……。
 改めてこの事件の重さに打ちのめされ、よろめいてしまう。

「わかっとる。なんで好きかわからんって言いたいんだろ? 昔脱臼させられたしな」

「そうそう! なんで? なんで結婚することになったんだ? 付き合ってることも知らんかったぞ」

「うん、付き合ったことはないな」

「え、ええええ」

「実はな、賭けをしててん」

「か、賭け……?」

「1本とったら結婚っていう賭け」

 姉から1本とは、勿論柔道のことであろう。
 つか、そんな賭けをしていたのか……。

「……で、1本とったんか?」

「無理にきまっとるやん」

 これが吉本なら全員コケている。
 私もヒザがガクっとなった。

「……だめじゃん」

「無理やて。俺が一本背負いに行ったら、裏投げで返して脳天カチ割るお方やで? 俺の得意技をあっさりと、『ヌルい!』 って言われる相手にどうやって勝てと?」

 なんだよ、そのヤワラvsテレシコワみたいな試合内容は。
 しかもヤワラが負けてんじゃん(わからない人は YAWARA! を読もう)。

「そもそもどっちが賭けを言い出したん?」

「俺。好きやもん。結婚したかってん」

「そもそもどこが好きなんだ?」

「好きに理由があるかい」

「そうですか……」

 そのセリフは一般の、ごく普通の可愛らしい女性に使うセリフであって、断じて姉を対象に使用する言葉ではないと私は思うのだが……。
 まぁ彼は相当な M なのだろう。きっと。

「姉は飯も作れないし、洗濯も洗剤をぶち込んでスイッチを押すしかできない、『女』 にクエッションマークが100個ついても足りないくらいの人間? だぞ?」

「そんなん俺がするがな」

「……そ、そこまでか」

 まぁ、姉と結婚するなら家事は旦那がするしかないと思ってたけどさ。

「話を戻すぞ。賭けが達成できてないのに結婚することになったのはなんで?」

「つまりな。婿養子になるならしてもいいって言われたから、OKしたんや」

「あー……なるほどなー」

 つまり、我が家の道場を継ぐ人がいないという問題を解決したかったワケなのね。
 私は家を出た身だし、弟と妹は実は血のつながりのない、両親が事故で亡くなった為4歳の頃に面倒を見ることになった親戚の子なので本家の子ではない上に柔道剣道に興味なしなので除外。
 そう言えば太郎くんは5人兄弟の末っ子。
 柔道は強いとはいえないけど熱心だったし、ウマがあったということかねぇ……。

「事情をやっと理解したよ」

「やっとか。姉さんに聞いてないのか?」

「恐くて聞けるかよ」

「……まぁ、そうか」

 私が散々姉から受けた仕打ちをよく知る太郎くんは、それだけで理解してくれた。
 しかし、やっぱり腑に落ちないことがひとつ。

「また話を戻すけど」

「おう」

「なんで結婚したいと思ったのさ……」

「さっきも言うたやんけッ!!」

「だってアレを好きになるっていう理由がわかんねぇんだもん!!」

「弟がそんなこと言うなッ!!」

「弟だから言えるんだっ!」


 結局、好きになってしまったものは仕方がない、の一点張りで、なぜ姉に惹かれ、好きになったのかは語ってくれませんでした。
 考えれば考えるほど謎なんだけどなぁ……。

posted by BlueTasu at 04:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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祝!ど-てい卒業しました!
Excerpt: 西川先生みたいな女の人に37マモナ買ってもらえました! 
Weblog: けいた
Tracked: 2007-07-02 06:14
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