2007年04月10日

No.361 名馬ファイル vol.13

寡黙な男の雄弁なる二冠

サニーブライアン.jpg

14年間、重賞を勝っていなかった大西の2つ目のタイトルはGIだった

中尾厩舎所属の忘れられた騎手は、30代半ばにして調教師試験の準備を考えなければならないほど勝てなかった
否、そもそも乗鞍がなかった
腕はあったが寡黙で口下手な大西は、乗鞍に恵まれなかったのだ

そんな中尾厩舎に、一頭の有力馬が預託された
サニーブライアンである

順調とはいかないまでも、ジュニアカップに勝ちクラシック路線へと進むことが出来た
サニーブライアンは、弥生賞で3着に入り権利をとる
しかし、続く若葉ステークスにも出走
初めての1番人気を背負ったが、逃げることが出来ず4着に惨敗した

1番人気馬で負けた

無名の大西は、大舞台の皐月賞を前に、馬主・宮崎から乗り代わりを告げられれば
従うほかになかった
しかし、宮崎は大西に手綱を任せ続ける
かつて、22番人気のサニースワローを2着に導いた大西を...
サニースワローの妹が産んだ初仔、サニーブライアンの手綱を任せられるのは
大西しかいないと...

11番人気
それが皐月賞でのサニーブライアンへの評価
若葉Sの4着は、逃げられなかったから4着、ではなく、
この馬の能力の限界を示すものだ、と認識されてしまったのである

サニーブライアンが逃げるだろう
だがあの程度の馬、直線で必ず捕らえきれる
皆そう思っていたに違いない

スタートのうまくないサニーブライアンにとって、大外枠からの発送なら、出遅れても外から馬群に閉じ込められることのない絶好の枠
メジロブライト、ランニングゲイル
2頭の人気父内国産馬が後方でもがくなか、サニーブライアンは気分よく逃げた
途中、テイエムキングオーがイレ込みながら競りかけてきたが、元々逃げ馬にしては
異質なほど気性が大人しいサニーブライアンは2番手でもじっくり折り合える
十二分に余力を残したまま、サニーブライアンは直線を先頭で駆ける
同じブライアンズタイム産駆のシルクライトニングが急追するも、クビ差まで
一冠目、皐月賞を鮮やかに逃げ切り戴冠

フロックだ

しかし、展開が味方しただけだと周囲は声高に主張する
運が良かっただけなのだ、と

「絶対に逃げます」
「1番人気はいりません。ほしいのは1着だけです」

大西は強気だった
フロック視する周囲の声を利用し、ダービーでは前は絶対に譲らないと主張したのだ
これに惑わされたのが後の逃げ馬、サイレンススズカの陣営である

「共倒れは避けたい。大西さんは絶対に引かないのなら、こちらが引くしかない」

周囲は大西の術中にハマっていったのである
そして、再び大外枠18番を引いた瞬間、大西は勝ちを確信したという
普通は逃げ馬にとって不利なはずの外枠も、
サニーブライアンにとっては勝利への後押しに他ならなかった

かくして逃亡劇は繰り返される
大西の思惑通り控えたサイレンススズカは折り合いを欠いている
怖いのはシルクジャスティス、とレース前に語った大西
大西はその未知なる末脚を恐れていた
しかしサニーブライアンにできることは逃げるだけ
府中の直線500m
ただひたすらに足を伸ばし、前を向いてゴール板を目指すのみ

完成、悲鳴、怒号、声援、そして馬券
全てが渦巻き飛び交いうねる府中の観衆の目の前で、フロック視した人々を
嘲笑うかのごとくサニーブライアンは逃げ切った

「これはもう、フロックでもなんでもない! サニーブライアン二冠達成!!」

大西は派手なガッツポーズと共にダービージョッキーとなった
重賞2勝目で夢のダービージョッキーに…
その胸に去来したものはどんなものであったのか?

「僕も騎手も馬主さんも、ダービーは連対率10割なんですよ」

かつて寡黙で口が足りないと言われた男は、そう言って笑った
そして菊も逃げる、と高らかに宣言する
今度はもう簡単には逃げさせてくれない
だが、この馬ならば…

しかし、骨折が判明し、三度の逃げは見られなかった
三冠全てを逃げ切るという夢は、夢で終わってしまった
これが競馬
無事であることが名馬の証
サニーブライアンは本当の意味での名馬足りえることはできなかったのかもしれない
しかし、皐月、ダービーを逃げ切ったレースはいつまでも色あせることなく輝き続ける

――――――――――――――――――――――――――――





競争成績 10戦4勝
獲得賞金 3億4030万6000円
〜重賞成績〜
97.皐月賞1着、日本ダービー1着、弥生賞3着



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 名馬ファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この会は私が書き込まないわけにはいかないでしょう。DOCのHPにも乗せてもらいましたし^^;

この年はブライアンズタイム産駒があたり年でシルクライトニング、ジャスティスも
そうでした。
いまでもあたりの馬連コピー馬券もってます^^;
Posted by グリフ at 2007年04月10日 23:48
 返事が遅くなって申し訳ない。
 グリフさん、サンクスですよ。

 サニーブライアンは引退してから好きになった馬ですね。
 こういう馬は珍しいです。
 大西騎手といい、昨年のメイショウサムソンの石橋騎手といい、今まで失礼ながらマイナーと言わざるを得なかった騎手が、強い馬と巡りあって活躍するというパターンは好きなんですよね。
 こう、やっぱ競馬ってドラマだよなぁ、と。

 あの年のブライアンズタイム産駆はすごかったですね。
 その中で、一番人気が低かったのがサニーブライアンでした。
 私的にはヒダカブライアンを一番に応援していた気がします。
 確か、まだハズレ馬券もってたりするぞ(^^;
 馬券を的中なされたグリフさんの見る目は確かだったみたいですね。
 私はダメでしたが……。
Posted by BlueTasu at 2007年04月13日 01:37
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

競馬予想法
Excerpt: 競馬予想のコツを紹介
Weblog: 競馬必勝法ブログ
Tracked: 2007-04-13 16:36
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。