スパイ映画の傑作、007が4年ぶりにスクリーンに帰って来た。
今度のボンドはダニエル・クレイグが起用され、初の金髪ボンドの誕生。
原作シリーズ第1作目で、ボンド誕生秘話といった内容となっている。
つまり今回のボンドはダブル・オーになりたての新人さん。
ちょっとマンネリ気味だったシリーズが、新たなボンドと共に生まれ変わった。
モノクロでダブル・オー誕生の瞬間がまず流れ、その後定番のガンバレルシークエンスと共に主題歌『You Know My Name』 が流れる。
モノクロの回想シーンはともかく、一連のこれはアニメ映画か? と疑うほど007らしくないオープニングで、定番のマネーペニーとの絡みもない。
「なんかボンドらしくないね」
とは一緒に見に行ったハルちゃんのお言葉。
まったくもってその通り。
つまり面白くないのか? と聞かれればそうでもない。
序盤からボンドが走りまくりで、大使館にすら押し入っての争いは見ごたえ充分。
私はこの序盤の一連のアクションで、もうお腹がいっぱいになってしまうほど。
周囲の迷惑顧みず、走る走る。
思わずマッハ!!!! を思い出したね。なんとなくだけど。
その後の展開も、スクリーンから目が離せない。
いつも活躍する、怪しい秘密道具もなく今回はやけに肉体派なボンドだが、サブタイトルにあるカジノでのシーンでは、ひり付くような緊迫感を元にした駆け引きが印象深く、並々ならぬ知性も窺える新たなボンドだ。
マンネリ化していたボンドの世界を、ここまで新しく完成させたのには脱帽。
なら満点なのか? と言われれば、これまたそうでもない。
第一に長い。ラストまでがやや冗長に過ぎた。
第二に彼女に本気で入れ込むボンドは全くもってボンドらしくないし、第三に仕掛けられた罠にアッサリ引っかかるボンドも、これまらボンドらしくない。
まぁダブル・オーになりたて、という設定だから、アリと言えばアリなのかなぁ。
ダニエル・クレイグのボンド自体は非常に素晴らしかったので、次回作に期待したいところだ。