本日私とハルちゃん、2人揃って休日ということで、どこへ行こかいな、という話をしていたわけである。
よく行くのは映画。ハルちゃんは大の映画好きなので、映画のあとに食事、そして時間の許す限りドライブ、というコースが定番だ。映画のジャンルは問わず、話題作は大体見ている。
家でだらだら〜と過ごすときもある。そういう時は大抵ハルちゃんが凝った料理を用意してくれるのでそれが楽しみ。あとはハルちゃん自慢のプロジェクターでDVDを観たり、一緒にゲームをしたり。何より金がかからないのがいいかな。
で、今日は? という話になると、ハルちゃんは唐突に切り出した。
「ビリヤードやってみたい」
そんな話、一度もしたことないんだが……。
「Blueさんだけ楽しむの、せこいっすよ」
せこいとまで言うか……。
ま、それも良いだろう。
というわけで、ビリヤード場へ。
「いらっしゃい。今日は彼女も一緒か、よろしいな」
店長のダンディなおじ様と、いつものようににこやかに挨拶。
「ビリヤードしたいんだって。教えてやってくれない?」
なんといってもおじ様はプロである。
初心者の私が教えるより、プロの方の指導を仰いだほうが良いに決まってる。
と思ったのだが...
「え、Blueさんが教えてくれるんじゃないんっすか?」
「じゃあ見てるから、教えてあげなさい。間違ってたら容赦なく言うからね」
「それじゃ試験じゃないですか……」
というわけで、私の基礎チェックを兼ねた、指導という名の試験が始まったのでありました。
まずはハルちゃんはキューを持っていないので、ハウスキュー選びから。
これは店の物だし、おじ様に一任。
一応チェックポイントを書くと、シャフトと、曲がっていないかと、タップの形の3点。
酷使されたシャフトは見た目にはわからないヒビが入っている事があるので、1,2度撞いてみて変な音がしないか確認しよう。
それからキューをテーブルの上にのせ、転がしてみよう。曲がっているとすぐわかるハズ。
あとはタップ。タップというのはキュー先にある皮のことで、球と触れる大事な部分。
横から見て適度に丸みのあるものを選ぼう。平べったいのはダメだし、軽く押してみて柔らかいのもだめだ。
この3点のしっかりしているキューが揃っている店は、優良店。
逆にダメなのが多い店は手入れが行き届いていない証拠なので、通うのはやめよう。
キューが決まったら持ち方、スタンス、ブリッジ、ストロークだ。
持ち方は持ちやすい部分を軽く握る程度で。
軽く、とは言ってもきちんと5本の指で包むような感じで。
スタンスは個々によって違うが楽に構えられるようにすること。
あまりスタンスが広かったり、逆に両足を揃えたような構えはダメだ。
ひじを直角に、顔をキューの上にして構えよう。
ブリッジとは、キューを支える左手のこと(右利きの場合)。
親指を中指をくっつけてその上にキューを置き、人差し指で上からかぶせて輪っかにする。テーブルに小指、薬指、中指の3本でしっかり土台を作り、キューを振っても動かないようにしよう。
あとはストローク。力を抜いてキューを水平に構え、ひじから上は固定し、ひじから下だけで振り子のように真っ直ぐ引いて、反動で真っ直ぐ突き出す、その繰り返しだ。
「ちゃんとできてるね」
おじ様は頷きながら褒めてくれた。
良かった良かった。
で、あとは手球を撞いてみる。
撞くときは最初は真ん中で。
クッションで反射させたとき、真っ直ぐ返って来たら成功。
曲がったら真ん中を撞けてないか、それとも真っ直ぐ振り抜けていないかのどちらかなので、もう一度最初からチェックすべし。
はっきり言って、思っているより、言葉にするより真っ直ぐ撞くことは難しい。
何度も何度も繰り返し、それでも真っ直ぐ撞けないのがビリヤードだ。
「まぁこれだけできればいいかな。じゃあ簡単なゲームをしてみようか」
後はゲームで楽しみながらのチェックだ。
ゲームは初心者でも楽しめるよう、何を狙ってもいいベーシック。
2人でプレイし、15個の的球を使用。
8個先に決めたほうが勝ちだ。
「でも君だけはハンデとして番号順に狙うといいよ」
などとおじ様、言ってくれる。
それ、すっげぇ難しいんですけど……。
ナインボールでさえ順番に狙うのは他の球が邪魔になることが多くて難しいのに、さらに6個も多い15個じゃ……
「ぐおおお、こんなん決めれるかー!」
「あっはっは、Blueさん無駄だろうけど、ガンバッテ〜」
「おのれぇっ!」
……マケマシタ。
「ビリヤードって、結構面白いね〜。帰り、ハスラー借りよっかなぁ」
まぁ気に入ってもらえたようで、何よりです……。