2006年11月07日

No.225 手紙

 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。
 弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。
 しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに 「強盗殺人犯の弟」 という運命が立ちはだかる。
 人の絆とは何か。
 いつか罪は償えるのだろうか。
 犯罪加害者の家族を真正面から描ききった感動の名作。

『手紙』 著者・東野圭吾

 手紙.jpg

 問題作である。
 昨今、悲惨な事故・事件が連日してニュースで取り上げられている。
 その裏で、加害者である家族はどのような生活、思いを強いられるのか。

 差別は当然なんだ。
 犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。
 我々は君の事を差別しなければならない。
 自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる――すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。

 作中、何度も暗い考え、重い現実と考えさせられるセリフが随所に散りばめられている。
 この本を読んだあとに感じたことは、もちろん感動もあったが、それ以上に、これから先の未来に起こりうる人間関係に対して、もの凄く難しい問題を提起した作品だなぁ、と思った。

 兄・剛志が強盗殺人を行ったのは、弟の大学進学へのお金が欲しかったからである。
 そこで家人に見つかってしまい混乱した剛志は、殺人というしてはならない罪に手を出してしまったのだ。
 弟想いの兄ゆえに、弟も苦悩する。
 現実には冷酷な殺人犯、というイメージを塗り固められ、その弟というだけで周囲は壁を作ろうとする。
 だが、人が人としていき行く上で、人との繋がりは絶対不可欠なものなのだ。
 兄の存在を隠し、現実から逃げ出しても、就職、結婚、子供の養育の場で繰り返される迫害からは逃れられない。
 人それぞれ、読む人によって感じ方、受け止め方が違うだろう。
 だけど、この本は 罪と罰 とはなんなのか。
 それを考える、人間が生きていくうえで必要な想像力を換気させてくれると私は思う。
 ゆえに、これが名作であり、問題作と呼ばれるのだとも私は思った。

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 そういや今、これの映画も上映されているんだった。

 http://www.tegami-movie.jp/

 ↑こちらがその公式HP。
 小説とはちょっと違うようなところもあるけれど、厚かったテーマは紛れもなく 『手紙』 だ。
 是非機会があれば見て欲しい。映画は知らないんで、できれば小説のほうを(^^;


posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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