2006年09月04日

No.167 信じるものは……

 本日は夏競馬、小倉競馬の最終週。
 本日のメインレースは小倉2歳ステークスである。
 昨年は小倉から二冠馬メイショウサムソンが誕生した地。
 今年はこの小倉から一体どんなニューヒーロー、またはニューヒロインが誕生するのか?
 今後を占う上でもこの小倉2歳Sは見逃せないレースとなった。

 ここは私の仕事場の休憩所。時刻は昼の3時頃。
 日曜だというのに関係なく働かされる哀れな働き蜂、もとい従業員たちは、額の汗を拭いながらわずかばかりの休息を得るべくこの休憩室に集っていた。
 手にはそれぞれお茶やコーヒー、またはジュースを飲み、何気なくテレビから垂れ流れる競馬中継に目を向けていた。
 ちなみにチャンネルを事前に競馬中継へ合わせたのは私である。

 テレビでは小倉2歳ステークスのパドックの様子が映されていた。
 ポクポクと歩きながら首を上げ下げしている馬がちらほら見える。
 まだデビューして間もない若駒たちだ。入れ込むのも無理はない。

「で、Blueよ。お前ならどの馬を買う?」

 競馬を全く知らない先輩が競馬を良く知っているつもりの私に聞いてきた。
 ばかめ、パドックをみただけで勝ち馬がわかるなら、こんな辺鄙な場所で日曜日に仕事なんかしてるかっつーの!!(ちょい逆切れ)
 
「このシルバーストーンっての、どうなんだ?」

 先輩は1番人気のシルバーストーンを指差して言った。
 確かにこの馬は前走、直線を鮮やかに抜け出して快勝している。
 しかもこの時期では珍しい2勝馬。軸にはもってこいだろう。
 しかし、だ。このシルバーストーンはまだ2歳。安易に信頼しすぎるのもいかがなものか? この馬は先行しての競馬でしか勝っていない。
 この多頭数。ちょっと出遅れただけでどうなるかしれたものではない。
 それに今回は牡馬より牝馬のほうが出走頭数が多い。
 この時期、仕上がりは牝馬のほうが上だし、小倉最終週とはいえ今年もあまり荒れていない馬場を考慮するならば、瞬発力と先行力は牝馬の方に分があるのではないか?
 そう考えをめぐらし、私が指差したのはアドマイヤコジーン産駆のアストンマーチャンであった。

「この馬かなー。確か新馬戦で負けたけど、その時中団から鋭く伸びてきたんですよ。こういう多頭数ならそういう経験が生きそうですよ」

 ちなみにこれは、かなりテキトウによさげなコメントをほざいているだけである。
 そもそも馬場がよくて先行した馬が有利なのだから、中団でレースをした経験の有無など関係ないのだ。
 これは何も知らない先輩に対し、とりあえずそれらしいコメントを言って玄人ぶってみただけに過ぎない。

「ふーん、そういうもんか。じゃ、他には?」

 だからわかんねーって。
 そんな1着どころか2着も3着もぽんぽん言い当てられるんだったらこんなところにいないで、今頃競馬場で第二の2億円おじさんになるべく馬券買いまくってるっつーの!!

「このストラテジーってのはどうなんだ?」

 だからわかんねーって!! ただでさえ2歳戦はどういうレース展開になるかさえサッパリなのに、こんなちょこっと見ただけでわかるかっつーの!!

「とりあえず、千二ですしバクシンオー産駆のニシノマオって馬と、あとは内枠で小倉で今乗れてる和田騎手のスーサンライダーでも押さえといたらいいんじゃないですか?」(超テキトウ)

 私は投げやりに言い放つ。

「ふーん、そういうもんか」

 先輩が私の根拠レスな予想に納得した瞬間、休憩終了のベルが鳴り響く。仕事の再開である。私らはテレビの電源と休憩所の電気を切り、ため息混じりに仕事を再開した。

 ・
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 15分後。

 私は個室でPCモニターとにらめっこをしていると、突然先輩がドアを乱暴にぶち破って入ってきた。

「うおおお、Blue,お前すごい!! 天才!! 素晴らしい!! ありがとう、ありがとう!!」

 そしていきなり抱きつかれ、何度も何度もハグハグされる。
 ヤメテクダサイ、私ハソンナ趣味ナイデス……。

 大興奮の先輩。
 なんかこのままだと勢いで脱がされて、見たくもない危ないシーンに突入しそうな雰囲気。んな趣味ないし気持ち悪いしそもそも暑苦しいので、とにかく力ずくで先輩を引っぺがし、落ち着かせることに専念。
 そうすると、先輩は未だ興奮冷めやらぬ調子で一気にまくしたてた。

「さっきお前が言った3頭の馬、1,2,3着で完璧だったぞっ!!
 俺、お前を信じて今競馬場にいるっていう友人に頼んで馬券買ってもらったんだよ!! そしたら3連単で万馬券だよ!! すげぇよ!! お前すげぇよ!!」

 ・
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 ・

 はぁっ!?


「マジで……?」

「マジマジ! 俺馬券なんて買ったことなかったけど、お前を信じて良かったよ!!」

「ち、ちなみにいくら買ったんですか……?」

「1000円だ。300倍らしいから……30万だなっ!!」

「……マジかよ」

「今日は俺の奢りだ! なんでも食ってくれっ!」

「は、はぁ……」

 結局、私は先輩に夕ご飯に恒例の寿司を奢ってもらったが、30万に比べれば微々たる金額であった。
 馬券を買っていないレースで予想が当たっても全然嬉しくないよ!!
 つか、買ったら外れるのが予想なんだよなぁ……。
 ちなみに某予想サイトでも私は何故かエミネンツァベルタから流して総外し。
 自分で馬券買って外すよりはなんぼかマシだけどさ……。

 あ、でも寿司は美味かったとです。
 今度は馬券を買ったときに予想が当たりますように……。



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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