2006年09月03日

No.166 9月最初の土曜日

 ようやく夏のこってり&ギラギラな暑さも和らぎ、秋の気配が漂う9月最初の週末。
 私の夏バテもようやく回復の兆しが見えてきた。
 ぶっちゃけて言うと、食欲が戻ってきたってこと。
 食欲の秋、馬肥ゆる秋、と言うけど、私も夏に減った体重を取り戻すべく食わねば! と、決意も新たに、昼食を食べるべく会社をでました。
 ――そこに

「Blueさん、こんにちわー。今からお昼?」

 事務の ゆうさん が待ち構えていた。
 私は事務所がある本社ではなく、工場の二階の個室が仕事場になっているので、本社の事務の人とはほとんど面識がない。つまり、ゆうさんとはほとんど話をした事がなく、朝にすれ違ったときに社交辞令の挨拶を交わす程度の付き合いなのだ。
 そんな事務のゆうさんが、本社と工場は目と鼻の先にあるとはいえ、午前の仕事が終わったばかりのこの時間にこんなところにいて、しかも私に話しかけるなんて事態はまずありえない。
 一体何事?
 この時の私の顔にはそう書いてあったらしく、それをゆうさんは目ざとくツッコんだ。

「そんな警戒しなくてもいいやん」

 で、コロコロと笑うゆうさん。なんか遊ばれてる?

「お昼、誘いに来たの。さ、行こう!」

 私は一言も喋る暇を与えてもらえず連行。ナニ!? 何なの!? やっぱり遊ばれるの!!?

「なに? なんでゆうさんが俺にお昼誘ってるの?」
「いやいや、来ればわかるから」
「えっと……本当にアナタは事務のゆうさんだよね?」
「他に誰に見えるんよ?」

 疑問ばかりが口をつく私。だって、わけわからんもん。
 つか、来ればわかるってどういうこと? 普通にお昼ご飯を食べるって意味じゃないのか? で、行ったら最後、何かとてつもない罠が待ち受けているのか? つか、ゆうさんってこんな強引な性格だったのか? ていうか、心なしか怒ってない? もしかしてトイレ裏に直行でしばかれる? で、「これがお前の今日の昼ご飯だ」とか言われて便器に顔をつっこまれる!!? うわ、私、ゆうさんに何かしたっけ? 何か気に障るようなことを言ったりとかしたっけ? うおー、わからん!!

 様々な疑問が頭の中で浮かんでは消える。
 どうしても悪いイメージしか浮かんでこないのは、私が生まれてこの方、ロクな目にあったことのない証明。
 つか、外に出るまでの道のりで、他の社員さんに 「いったい何事?」 という奇異の目に何度も晒される。
 やばい、帰ってきたら絶対また何か言われる……。

 ――で、生きた心地がしないうちに駐車場までたどり着いた。
 ゆうさんは何やら携帯で連絡をとっている模様。

「はい」

 で、いきなりその携帯電話を渡された。ナニ、振り込み詐欺の電話の対応をしろとでも??

「も……もしもし?」(←超へっぴり腰)
「Blueさん? こにちわー。元気ー?」

 受話器から聞こえてきた声は、想像していたこわ〜いお兄さんではなく、最近よく聞く声だった。

「あ、ハルちゃんか!!」
「あたりー。私、今日お仕事休みなんっすよ」

 今更思い出す事実。そういえばゆうさんは、ハルちゃんの友人だった。
 確かゲド戦記を一緒に行ったときも、ハルちゃんは最初、ゆうさんと観に行く予定だったのだ。

 で、ここでクエスチョン。

 この回りくどさはナニ?
 なんで私の携帯に直接電話しないんだ?

 ・
 ・
 ・

 その疑問が脳裏に浮かんだ瞬間、決定的な言葉が放たれた。

「Blueさんの携帯に電話したら妹さんが出て、『今日お兄ちゃんは携帯を忘れて行きましたー』 って言われてさ。それでゆうちゃんに頼んだんっすよ。でね、この前お昼奢ってもらったお礼にさ、美味しいお店あるから昼休みに誘おうかと思って――って、おーい、Blueさん、聞いてるー?」

 ・
 ・
 ・

 妹がハルちゃんからの電話に出た!?


 その衝撃的なセリフに、私の視界に映る全ての世界が傾いた。
 ゆうさんの携帯を握り締めたまま、地面に片膝をついて戦慄く私。
 ハルちゃんのセリフは後半、ほとんど耳に入っていない。
 そういえば、そういえば……言われて今気付いたよ!!
 携帯電話を家に忘れてたよっ!!

 この後、ハルちゃんにお昼ご飯、パスタの店でたらこスパを奢ってもらったのですが、味、覚えてない。つか、ハルちゃんとの会話もほとんど覚えてない。
 私はいったいどんな顔をしてハルちゃんと食べたんだろう。
 今頃になって悪いと思い出し、謝罪メール送ったけど……。

 つか、仕事が終わり帰宅した瞬間、にやぁっと笑いながら忘れていった携帯電話を私に差し出し、無言で去っていった妹がすっげぇ怖い。超怖い。つか、胃が痛い。また胃に穴があきそうだ……。
 現在のところ、まだ妹以外の家族にハルちゃんのことは耳に入ってないようだけど、今後どう転ぶか全然わかんないっていうか別にバレちゃっても問題ないんじゃ……いや、姉にバレると色々というかかなりヤバイ気がする。
 何がヤバイって口には出来ないけど、とにかく第六感が総動員して警鐘を叩き鳴らしている。
 理屈じゃない。本能がヤバイと告げているのだ!!

 でも、何かできるわけじゃないしなぁ……なるようになるしかないしなぁ……。

 何かが不協和音を立てて崩れる音を確かに聴いた、9月最初の土曜日であった……。



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいなぁ女の子に誘われて。
つかモテ夫はいっぺん痛い目に遭うと
いいんだよ!ってBlueTasuさんは何度も
痛い目にあってるようなので、

 とりあえず合格っ!

なにが?なにが合格なの!?
青春だなぁ。ハートフルラブコメディ路線
まっしぐらだなぁ。そのうちゲームとか
僕らのことなんかも忘れ去ってしまうんだ
ろうな〜。そんなもんさ、フッ。
Posted by クリス at 2006年09月03日 02:48
こんばんわ、クリスさん、毎度コメントありがとうございます。
とりあえず合格をいただけたようで、微妙に嬉しくないけどありがとうございます。
つか、もう青い春を謳歌するような年じゃないんですけどね……。
なのでもしクリスさんらのことを忘れるとしたら、それは年のせいでしょう。たぶん。
Posted by BlueTasu at 2006年09月04日 02:14
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