2006年08月04日

No.131 ここは魔界村

 今日の昼休み、私は悩んでいた。
 ズバリ、『極魔界村を買うために会社を抜け出すか否か』 という命題についてマジ悩みであったわけだ。
 私はこういう風に悩んだ場合、大抵は二つの意見が脳内で対立し合っている。

「また昨日みたいに会議で遅くなって店が閉店したらどうすんだよ。行っちゃえ行っちゃえ」

 と耳元で甘く囁く悪魔もいれば

「おどれは何考えとるんじゃ!? 仕事中やぞ、就業中やぞ。抜け出す? ワレふざけとったらその蕩けた脳みそ垂れ流れるまで脳天どつきまわすどッ!!」

 と耳元で正論を囁く、というより叫びながら暴力を揮う地球外生命体もいる。
 その対立は明らかに悪魔が劣勢であった。
 しかし今、この地球外生命体がこの場にいるわけではない。
 そうだ、いくらなんでも買いに行ったところで地球外生命体にバレるわけはないのだ。
 それに今日もまた会議なのである。
 
 買いに行くべきだ!

 悩んだあげく、はじき出した結論はこれ。
 というわけで、私は極魔界村を買うために仕事を抜け出した。
 まぁはっきり言うとサボリなわけだが、昨日はくだらない会議で延々と時間を潰されたせいで遅くなり、終わった頃にはいつもの店が閉店しており買えなかった、という経緯を考えれば昼休みにちょっと抜け出すくらい許されるだろう。
 なんというか、自分には蜜蜂のミツより甘い私である。
 ともあれ発売日から1日が経過していたので売り切れだけが心配であった。
 ここまで危険を冒して買いに来たのに、売り切れでした、では話にならないではないか。
 しかしその心配は杞憂に終わったようで、サクっと購入することができた。
 ――が、買ったあと、

 売り切れ、ごめんね

 の札が掛けられる。
 つまりこれが最後の1本だったわけで、昼休みに抜け出して買いに行ったのは大正解だったというわけだ。
 やっぱり日頃の行いって奴は大事である。

 購入後、私はちと寄り道をすることにした。サボりついでというやつだ。
 寄った先は近くのゲームセンター。特に目的があったわけじゃなく、ただの好奇心であった。
 ゲーセンなんてかなりご無沙汰である。
 地元にはなく、大阪まで行かなければプレイできなかったDOCをプレイするために電車で通っていたときぐらい久々だ。
 DOCはホントにハマってしまい、あまりの熱中ぶりにバイトの1か月分の給料を全てつぎ込んで帰りの電車賃がなくなり、駅で一夜を明かしつつ歩いて帰ったという、笑えないどころか、思い出すと虚ろな笑いを浮かべてトリップしてしまうような過去があったりする。うへへへ……。

 ――閑話休題

 ともあれ、ゲーセンである。
 自他共に認める田舎な地元なわけだが、近所のゲーセンでは一体どんなゲームが置いてあるのか?
 とは言うものの、結構家から離れたところにあるゲーセンは、この辺では結構交通量が多くにぎわうところ。
 なかなかに大きな規模で、ゲーセンの他にはビリヤードやボウリング、カラオケもできたりする。

 中はさすがに平日、夏休みの午後というだけあって、見かける顔は中高生が多い。
 入り口付近には昔と変わらぬビデオゲームの一団がズラリ。
 対戦格闘もので盛り上がっているところもあれば、昼間っから脱衣麻雀をかましている健全なおっさんの姿もあった。
 昔はあと奥にメダルゲームがあっただけなのだが、今は拡張されている。
 今と昔の違うのは、大型筐体の多さである。
 真ん中、一番の盛り上がりを見せていたのは、三国志大戦というカードゲームとシミュレーションを融合させたようなゲーム。
 そしてもうひとつ、賑わっていたのが、通称スタホと呼ばれる競馬ゲーム。
 DOCを彷彿させるかのような大画面と、ゆったりくつろげる背もたれつきの長椅子に寝そべりながら愛馬を育てていた。
 かなりやりたくなったが、ここは我慢。
 この誘惑に耐えるとは、私も大人になったものである。

 などと遠い目をしていたら、後方の一角では女子高生らしき一団がわいわい騒ぎながらプリクラを撮っていた。
 こういう光景は昔とあんまり変わらないなとか思いつつも、呆然と眺めていたら変質者と間違えられるので早々に立ち去る。

 ――と思ったら。

「あれ? お兄ちゃん何してんの?」

 女子高生らしき一団の中に、妹がいた。
 私は 『妹に見つかる & 問い詰められて仕事をサボっているのがバレる & 地球外生命体襲来 = 死』 の図式が素早く脳で構築された。
 どうする? どうする!? どうするっ!!??
 ヤバイ、絶対にこれはヤバイ。
 私は今手元にデスノートの切れ端があったら名前を書いて逃げ出したいくらいの衝動に駆られていた。

 ごまかさねばなるまい。
 なんとか切り抜けなければなるまい。
 私の脳はギュイーンと音をたてて高速で回転し始めた。
 ――が、考えがまとまるまで妹は待ってはくれない。

「ねぇ? 仕事じゃなかったの? サボり?」

「え、えとなぁ……」

 高速回転した脳は、焼け付いて煙を吹いていた。
 なんという低スペックな脳であろうか……。

「ねーねー、この人妹ちゃんのお兄さん?」
「へー、似てないねぇ」
「あ、いつもお世話になってますー」

 私が戸惑っている間に、あっさりと囲まれていた。
 中にはよく家に来るので見知っている子がいて挨拶される。
 完全に逃げ場とか余裕とか失った私は、ただその場で話しかけられたセリフを返すのに精一杯であった。

 結局その後、何故か女子高生とプリクラを撮るハメになったうえに、会社に帰るのが遅くなって怒られ、帰りには妹を口止めするためにまたケーキショップへ寄ることになって出費することになり、でも結局姉にばれて大猿に変化したべジータにボコられる孫悟空みたいにボロボロになった。
 寄り道はほどほどにしないと、魔界村以上の地獄が待っている。
 またひとつ思い出したくない記憶を抱きつつ、私の夜は更けていった……。



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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