2006年05月03日

No.49 ボウリング

 トップページでは今まで季節感を完璧に無視してサンタが飛んでいたのだが、さすがにこれはまずいと思い変更した。
 私のブログにはしてはありえない爽やかな空色をしている。
 まぁ心機一転頑張ろう――と思った矢先、長文を書いていたのだがエラーが発生し、保存するまえに消えてしまった。
 テンション下がりまくりである。
 と愚痴ったところで戻ってくるわけでもない。
 頑張ろう。

 今日は、家族でボウリングに行ってきた。
 毎年GWでは家族でどこかに出かけるのだが、今年は弟が部活、私が仕事で忙しいので、ボウリングののち食事、というお手軽コースとなったのだ。
 それでも律儀に家族的なイベントを強行するあたり、親父の頑固さも筋金入りであろう。

 ともあれ、我々家族は2レーンを借り、左のレーンでは父・母・妹と平和なメンバーが。右のレーンでは姉・私・弟の3人でゲームを開始することになった。

 足音が鋭く響くほど思いっきり踏み込み、ボールを投じる。
 勢いのつきすぎた15ポンドのボールは宙を舞い、レーンが割れるんじゃないかと心配するほどの破壊音を撒き散らして着地し、ピンに襲い掛かる。
 ピンは悲鳴を上げてバタバタと倒れていき、後には何も残らない……。
 姉が投じるたびに隣のレーンにいる若いカップルがこちらを横目でチラ見する。

「お客様、すいませんがボールは転がしてくださいっ!」

 店員が大音響を聞きつけ注意に来たのは2回目だ。

「勝手に飛ぶんじゃ、しょうがないやろ」

 この言い訳も2回目だ……。
 私はそんなやり取りを一切無視し、集中した。
 この勝負は負けられないのである。

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「負けた奴はこの後の夕食で、勝者にメニューを決められる」

 そんなルールを姉はアルカイックスマイルを浮かべて言った。
 問いかけるでもなく、すでに決定事項を伝えていた。

「玉転がしごとき、なんか賭けがないとおもろないやろ?」

 そんなことはありません、と言いたかったのだがここは素直に従っておく。
 出る杭は打たれない。
 意見など言ってもどうせ覆すことはできないのだから、従ったほうがマシなのだ。
 私の二十数年の経験がそう物語っている。
 弟も素直なものだ。

 しかし勝負は別だ。
 この後、中華料理屋に行くことになっているのだが、姉にメニューを決められるなんてとんでもないことである。
 どうせ私の苦手な、とびきり辛いメニューを選ぶに決まってる。
 そんなイジメはもうたくさんだ。

 その勝ちたい一心が実ったのか、最終10フレームを迎え、私が若干有利な状況となっていた。
 暫定的には姉が131点でトップなのだが、私は9フレームをスペアで終えているのだ。
 ちなみに弟はスプリットという不幸にも見舞われ、3連続ストライクでも取らない限り絶望的な状況となっていた。

「兄貴、頼む、頼むよ……」

 弟の期待を私は一心に浴びていた。
 姉にメニューを決められたくない、という思いは一緒なのだ。

 運命の最終10フレーム、姉の一投目。
 ボールは勢いよく真ん中のピン目掛けて転がって行く。

「やばい……」

 私たちはそう思ったのだが、神は味方した。
 激しい破壊音を撒き散らしつつも、右隅に1ピンだけプルプルと今にも倒れそうになりながらも残ったのである。
 姉は右隅が苦手だ。
 今まで右隅に残してしまったピンは何故か倒せずにいる。

 この勝負、もらった!

 そう思ったのだが……姉の二投目、奇跡というか、悪夢が起こった。
 一旦溝に落ちたボールが、なんとあまりの勢いに耐え切れず、弾かれるようにしてレーンに復帰したのだ。
 そのまま右隅に残った1ピンを直撃し、スペアとなった。

 実は一度溝に落ちたボールは、例え今のようにレーンに舞い戻ったとしてもガターとして扱うのである。
 しかし、このとき我々はそんなルールを知らない。
 ただコンピュータの採点に従うしかないわけで、コンピュータは素直に起こった事実を記録するのみ――つまり、倒れたという事実だけを記録したのだ。

 姉、渾身のガッツポーズ。

 10フレームではスペアかストライクを取れば三投目を投じることができる。
 姉はきっちり8ピンを倒し、スコアを149点と伸ばしてゲームを終了した。

 私の現在の点数は118点。
 149点まで伸ばすには、スペア以上が必須だ。

 集中しろ、集中しろ……。
 姉の阪神ファン顔負けの激しい野次を背中に受けながらも、私は目の前に集中した――つもりだったのだが、緊張に耐え切れなかった。
 真ん中をわずかに外したボールは、なんとか7ピンだけ倒れてくれたものの、左隅に3ピン残す結果となってしまったのだ。

 勝つためにはスペア以上。

 つまり、あの3ピンを倒さねば勝ちはない。
 早鐘のようにうつ心臓の鼓動が聞こえる……。
 姉の野次る姿の横に、祈るように両手を合わせた弟の姿も見える。

 勝つ、勝つんだ!!

 全エナジーを指先に集中させ、私は最後となるかもしれない――いや、決して最後にはしないと祈りを込め――ボールを投じた。


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 bo.jpg


 結果、惨敗……。
 最後に投じた一投は、なんとか2ピンだけは捉えた物の、全てを倒すに至らなかった……。


「ふはははっ! では、お前は激辛四川マーボー豆腐! その弟はお前の嫌いなピーマンたっぷりの野菜炒めを喰らうが良いっ!!」


 勝った姉は上機嫌で我々に死のメニューをつきつけた……。
 私は顔に玉のような汗と、死相を浮かべながら完食した……。
 隣では、これまた弟が苦虫を潰したような苦悶の表情を浮かべながら野菜炒めを咀嚼していた……。

 中華なんて、中華なんて、大嫌いだぁっっ!!

 でも唐揚げと炒飯は大好き……。





posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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