2006年04月14日

No.31 実況パワフル賭け野球!

 本日は久々の休日。
 というわけで、初めて1日に2回更新。(といってもNo.30はとても短い)
 溜まった疲れを癒すかのごとく爆睡し、快調な目覚め。
 さて、今日はまったくストーリーの進んでいないFF12を一気にやるか! ――と思った時であった。

「○○くーん、あーそーぼー」

 またか!? またこのパターンか!?
 二階の窓から玄関を見下ろすと、そこには友人(?)、タカが手を振っていた……。
 私は唾を吐きかけたい衝動をこらえつつ、苦い顔で階段を降りる。
 何故だ、何故私の休日がバレているんだ!?
 タカだって仕事はあるはずだ。なのに何故休日がいつも重なるのか?

「偶然っしょ」

 気楽に答えるタカ。何を言うか、偶然は二度も続けば偶然ではないのだ。

「まぁそんなことより……今日はリベンジに来たぜっ!」

 そう言って取り出したのはPSP。その中身は 実況パワフルプロ野球ポータブル であった。
 確か半年ほど前だったろうか? 私はタカにパワプロを挑まれ、36−0という容赦のカケラもないスコアで大勝したのである。

「あの屈辱は忘れん! リベンジだ! 今日は絶対勝つ!」

 よほど特訓してきたのだろう。奴は自信満々に言い放った。

「負けたほうがミックスモダンだ!」

 今回の賭けはミックスモダン。これは私たちが良く行くお好み焼き屋で一番高いメニューである。
 しかし奴は肝心なことを忘れている。それは根本的な問題であり、最も基本的なことであった。

「俺、パワプロポータブル持ってないぞ」 (どーん)

 DSなら1カートリッジ対戦、とかありそうだが、PSPでそれはない。
 勝負しようにもできないのだ。
 しかしタカは、事も無げに断言した。

「いや、問題ない。お前の分もあるから!」(どどーん)

 ……そこまでして対戦したいのか?

「先輩のフトコロから抜き取ってきた。これで問題あるまい。勝負だ!」

 色々問題のある発言だったが、とりあえず聞き流す。
 こちらの問題といえば、PSPでのパワプロに慣れていないという点だ。
 しかし、奴は半年前までは素人同然だった。
 半年間、たとえ死に物狂いで特訓したとして、それがどうした。
 私の野球暦、パワプロ暦をなめてはいけない。
 パワプロはSFC発売当初からやり込んできた私である。
 今日はぐっすり寝たし、体調もすこぶる良好。少々のブランク、ハードによる慣れの差など関係ない。

「叩き潰してくれる」

 それがプレイボールの合図であった。

――――――――――――――――――――――――


「どこ選んでもいいから」

 球団選択画面でタカはそう言った。
 しかしどこを選んでよい、と言われても私の選択肢は変わらない。
 そう、選んだ球団はもちろん横浜ベイスターズ。
 私は関西出身でありながら、ホエールズ時代からファンなのだ。
 以前の36-0での大勝も、ベイスタによるもの。
 ゆえに私がベイスタを選択するのは当然であった。

 タカは奴曰く、名前どおりホークスファンなのだそうだが、ソフトバンクという冠名になってからはあまり好きではないようであった。(でもタカはイーグルじゃなかったっけ……?)
 しかし前回はホークスを使用している。
 恐らく今回もホークスを選ぶのであろう、と思った時であった。

「じゃあ俺は、オールパシフィック で」

ふざけんなっ!

 オールパシフィック、とは、つまりオールスター時のスター選手が揃ったパ・リーグのチームである。
 投手なら西部の松坂、ロッテの渡辺、ホークスの斉藤らエース級がズラリと並んでいるし、野手も一昨年の三冠王、松中や西部の和田、カブレラなど各球団の4番打者が揃っている。
 ありえない、こんな不公平な対戦は認められるはずが……

「なんでもいい、て言うたやん」

 タカは超がつくほど邪悪な顔をして言い放った。
 確かに言った。言ったがしかし……

「そこまでして勝ちたいのか!」

はいともさ!」(即答)

 めっちゃ即答で、それも清々しく言われてしまうとなんとも言えない。

「それとも、前回大勝したのに自信ないんですかぁ?」

 醜く歪んだ顔でイヤらしく挑発をしかけるタカ。
 最低だ、なんて最低な野郎なんだこいつは!

 せめてものハンデのお返しとして、私が後攻を優先的に選んだ。
 球場はランダムで選んだところ――広島市民球場であった。
 なんでよりによってこんな狭いところで試合なんだ!!
 先発は幸いにも好調だったハマの番長、エースの三浦。
 対して、オール・パの先発は好調のホークス・杉内であった。
 杉内は確か、コントロール抜群で、カーブのキレが恐ろしく良かったハズだ。
 カーブは緩急をつけ、またその曲がり具合といい、厄介な球種であった。


○スターティングメンバー
 横浜ベイスターズ
 1番遊撃手・石井琢、2番二塁手・種田、3番右翼・金城、4番一塁手・佐伯、5番中堅手・多村、6番捕手・相川、7番三塁手・村田、8番左翼手・小池、9番投手・三浦

 オール・パシフィック
 1番三塁手・中村、2番二塁手・西岡、3番左翼手・和田、4番一塁手・カブレラ、5番右翼手・松中、6番中堅手・SHINJO、7番捕手・里崎、8番遊撃手・沖原、9番投手・杉内


「プレイボール!」

 審判の掛け声で試合は始まった。
 三浦、1番打者・中村 (てか、1番に中村はありえない……) に第1球……


 ぐわらごわらぐわきーん!


 外角低めのストレート、いきなりのホームランであった。

「うわはははっ!! お前の第一球目はいつもストレート!! 狙い通りじゃああっっ!!」

 タカが馬鹿みたいに吼える。
 初球はストレート。
 そういえばそうかもしれない。
 コイツ、研究してきてやがる……。
 そして……。


 ぐわらごわ(略)


 2番、西岡もホームラン。これも第一球目、スライダーを狙われてのホームランであった。

「スライダーでカウント稼ぐと思ったわ! 狙い通りだだだだっっ!!」

 タカ、絶好調。
 どうやら狙い球を絞ってきているようである。
 だが、原因は球種を狙われた、という点ではない。
 私はスライダーを外に外そうと思ったのだ。
 しかしまだPSPのアナログスティックでの操作が馴染めず、中途半端なコースになってしまったのである。

 しかし所詮それは言い訳。

 いきなり2点のビハインドだ。
 しかもタカは、球種を狙われたとはいえ、しっかり強振で真芯を捉えて来る。
 これはやばいかもしれない……。

 ・
 ・
 ・

 しかし、しかしである。
 これは胸躍る展開ではないか。
 久しく野球ゲームで私と対等に渡り合う敵はいなかった。
 私は相手が馬鹿とはいえ、好敵手に出会えたかもしれないのだ。
 対戦相手がいるという環境は、スポーツゲームにおいてとても貴重なことである。

 真剣に応じねばなるまい。
 私の野球の知識のありったけをこめて、奴を封じこまねばなるまい。
 これだけの腕がありながら、オール・パなどと卑怯な真似をするやつに負けるわけにはいかないのだ!

 私は続く3,4,5のクリーンアップを、スローボールを交えて打ち取った。
 もう点をやりはしない。
 私はそう固く誓い、次の回あっさりと3点目をとられた。
 狙い通りの球が来ると、打ち損じはないらしい。
 上等であった。

 3回裏、ベイスターズの攻撃。
 まだアナログスティックによる打撃に馴染めず、ここまで1安打に抑えられていた。
 そしてこの回もすでに2アウト、ランナーは石井琢が2アウトから死球で出塁。
 そしてバッターは2番、種田。
 ピッチャー杉内、痛恨のカーブ失投。

 種田、ガニ股打法が唸る!!

 完璧に捉えた当たりはセンターバックスクリーン直撃のツーランホームランであった。
 これで1点差!! さぁ、ガニ股に続け!!
 まだ3回裏の攻撃は終わっちゃいない。
 3番、金城のミート打法が野手の頭上を越すポテンヒット。
 4番、佐伯、杉内のカーブを捕手が後逸し、金城2塁へ。
 来た! 一打同点のチャンス!!

「代えるか……」

 まだ3回。しかしタカはあっさりと杉内を見限り、なんと守護神・小林雅を投入。
 なんという大胆で、かつゲームならではの采配であろう。

 同点のチャンスだったが、小林雅のキレの良いシュートで佐伯のバットは空を三度切った。
 小林雅の伝家の宝刀、シュート。恐るべき切れ味である。
 しかもMAX155kmの速球を投げ込まれれば、打て、というほうが無理である。
 4回も小林雅に完璧に抑えられた。

 5回からタカは松坂に継投。
 なんという憎たらしい継投であろうか。
 しかし奴は勝つために必死に守っていた。

 それもそのはず。
 3回以降、エース三浦の好投が冴え渡り、オール・パの打線を完璧に抑え込んでいるのである。

 その後、投手戦が続く。
 私はランナーこそ許すものの、点は許さずという苦しい展開ながらも1点差を守っていた。
 そして、この膠着した均衡がやぶられたのは、終盤――


 エース・三浦の粘投続く8回表。
 打者は4番・カブレラ。
 三浦のフォークはすっぽ抜け、ど真ん中に。
 打った瞬間入ったとわかる特大ホームラン。
 無情なる放物線を描き、広島の夜空・場外へとボールは吸い込まれていった。
 これで2点差。終盤に痛い1点である。

「うわははは!! 2点差じゃああっ!! 泣け、叫べ、そして死ねぇっっ!!」

 タカ再び絶好調。
 懐かしの三段活用である。

「このままでは終わらぬぞぉっ!!」

 これも懐かしの怒号であった。
 振り返ってみれば、非常に恥ずかしいおっさんたちである。

 ――ともあれ

 その裏の攻撃。
 松坂もこれで4回目、慣れてきた……。
 7番村田、セカンドライナー。1アウト。
 8番小池、鋭く曲がる松坂のサンデーボール、高速スライダーを捉え、センター前へ弾き返す。
 9番三浦。お疲れ様。
 労いの言葉をかけ、代打、古木を送り出す――しかし三振。

 野球は2アウトから。

 誰が言った言葉であろうか?
 まったくもってその通り!!
 1番、石井琢、本日2度目のデッドボール!
 しかも文字通り死球となり、石井琢が負傷交代。

「うらぁっ! タクロウに何さらすんじゃあああっ!!」 (←石井琢ファン)

 監督が怒ればナインも奮起。
 続く2番種田、いぶし銀のガニ股でライト前ヒット。


 きたぞ! きたぞ! きたぞぉっ!!


 来たのはアポロンではなく、2アウト満塁のチャンスである。
 間違いなく勝負を左右する8回の攻防と言えよう。
 打者は頼れる3番、金城!!

 タカは迷っていた。
 松坂を続投するか……交代するか……。
 3回に守護神・小林雅を早々に使ってしまった報いである。

「くっ……」

 結局、松坂降板。ロッテの中継ぎ柱、薮田を投入。
 薮田は確か、フォークとチェンジアップの緩急を使い分ける技巧派であったはずだ。
 ストレートもそれなりに速いが、緩急で抑えるタイプである。

 緩急をもって抑えるタイプを打つには?

 ヤマを張る。
 これしかない。
 走者は満塁だ。
 フォークは考え難い。
 ならばチェンジアップか?

 ――瞬間、脳裏に閃く奴の言葉。
 苦しいとき、カウントを稼ぐ球と言えば!?

 この時の私をデッサンするのであれば、それは確実に劇画調であったに違いない。
 これほど集中し、頭が冴え、画面がスローモーションに見えたときはない!
 そう、狙い通り――


「もらったぁあああっっ!!!」


 初球、ストライクを取りに来た スライダー を完璧に捉えた!
 打球は二塁手の頭上を越え、右中間を真っ二つに叩き割る!!


 走者一掃の2ベースでベイスターズ逆転!!


 ガッツポーズ!!
 とうとう、とうとう試合をひっくり返した!!
 そう、この試合、初めて私がリードしたのだ。
 そして、完全に流れは私に傾き、8回の攻防が明暗を分けた。

 最終回、MAX・161kmの守護神・クルーン投入。
 自慢の速球と、緩急をつけたスローボール&フォークで的を散らし、3人で反撃をシャットアウト。

 スコア、5−4。
 白熱した試合は、私に軍配が上がった。

「ミックスモダンきたーっ!」

 勝者の雄たけびが響き渡る。
 崩れ落ちるタカ。
 しかし、半年前の36−0を思えば大健闘である。
 正直ここまで追い詰められると思っていなかったのである。

 しかしそれはそれ、これはこれ。
 やはり約束どおり、ミックスモダンは奢っていただく。
 店にある全ての具をつぎ込んだ、豪華お好み焼き・ミックスモダン、綺麗に完食。
 

「くそ……絶対勝つ自信があったのに……あんときのスライダーが……」


 敗者は未だ文句を言いながら、豚玉を食べていた。
 見苦しい奴である。オール・パなどという卑怯なことをするから勝利の女神にそっぽを向かれるのだ。


「ゴチになりやーす」


 勝者の定番フレーズとともに会計へ――


「あ、財布忘れた……」


 ……こいつ、殺す。
 なんてお約束な奴だ。
 勝利の余韻など綺麗に吹っ飛んだ。
 私は歯軋りしながら代金を支払い、タカの家へと請求しにいった……。


 完。



posted by BlueTasu at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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