2006年03月24日

No.9 神

今日もFF12ではウェアウルフの暗殺が続いていた。
運がよければ10秒もせぬうちに2つの死体が横たわる。
効率も大変よろしく、経過は順風満帆であった。

しかし強敵を毒をもって一撃で倒す、というのは絵的に味気ないものである。
もしこんな攻撃がボスに効いたら、さぞ興ざめしてしまうことだろう。





「ん? もしボスに効いたら?」


私の脳裏は過去の記憶を彷徨った。
そして一瞬にしてたどり着く。
あったなぁ、ボスが瞬殺されてしまうゲームが。


――――――――――――――――――――――――


ドゥルルン!! ドッドッドッドッド……。
戦闘が始まるやいなや、彼らは勢い良くエンジンを始動させた。
手には細かな振動とともに、熱きエンジンオイルの流れる鋼鉄の武器を構える。
横にずらりと並んだ仲間たちも、それぞれ同じ武器を手にし、今にも飛び掛らんとしていた。
そして――


ちゅいぃぃぃいんっっ!! ずばあああぁぁぁっっ!!


その一撃を防ぐすべなどない。
それがたとえ神と呼ばれた存在であろうとも、だ。


「にんげんの サガ か……」


神は人間の最終兵器、チェーンソーによって真っ二つに切り裂かれたのである。





そう、知っている人はもうお分かりいただいただろう。
ゲームボーイの初期作にして名作、魔界塔士Sagaである。
私は小学生の頃、皆がテトリスの犬と成り下がっているのを横目で見ながらこのゲームを狂ったように遊んでいた。
ドラクエ、FFがファミコンで猛威を振るっていたRPGという分野において、このSagaは何もかも新しい要素に満ちていた。

何より携帯で遊べるというのが素晴らしい。

小学生だった私は親の目を逃れ、ふとんをかぶり、電池が尽きるまで毎晩プレイしたものである。
その姿、猿の如し。

玄武、青龍、白虎、朱雀。
塔を上るごとに強さを増す強敵を次々と打ち倒して楽園を目指す。
そしてこの「ゲーム」を仕組んだ神と相対する。


――しかし


まさか神にチェーンソーが効くとは……。
倒したときのエフェクトも、真ん中から綺麗に裂けていく。
まるで切られることを最初から予定していたかのようなエフェクトだ!

ドラクエ4の逃げる8回 → かいしんのいちげき連発、というボスを撲殺できる裏技があったが、これはそれ以上のインパクトだ。
ラスボスを一撃で屠ることができるRPGがあるなんて……。

これには深い衝撃を受けた。

前述のように、当時小学生だった私は、この事実を受け入れられなかった。
頑張って積み重ねてきたものを一瞬にして否定されたような気がしたのである。
私は神を倒すため、イージスのたてで守りながら かくばくだん を投下し、ガラスの剣とマサムネで切り刻み、核融合魔法(フレアね)を連発し、スーパースライムで頑張って溶かしていたものである。

しかし今はそれも良い思い出。

ウェアウルフを倒す手を少し止め、久しぶりにゲームボーイとSagaを引っ張り出してみた。
思えばこれもなかなか頑丈だ。
電源をつけるとSagaの懐かしいタイトルBGMが緩やかに流れだす。
そしてどきどきしながら つづき、を選んだ。

すると奇跡的に神の前でセーブしてあったデータが残っていた。
なんと懐かしい。
私はためらいもなくチェーンソーで神を真っ二つにした。

私はもうあの頃の子供ではないのだ。


完。



posted by BlueTasu at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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