2007年02月25日

No.316 絶叫の果てに

 物事には限度と言うものが存在する。
 そしてその限度とは、人によってマチマチであることは言うまでもなく、何をされても仏のように微笑み「ええよええよ」と許してくれる忍耐強いを通り越し、もはや変態の領域か? と思えるような稀有な人も存在すれば、すれ違いざまに肩が少し接触しただけで鬼の首を取ったかのように喚く――具体的に言えば、私の姉のような人間(?)もいたりするこのご時勢。
 私はといえば我慢強いほうだと自負するにやぶさかではないのだが、ことゲームに至ってはそういうわけでもなかったらしい。
 つまりだ。

 モンハンやりたいんじゃーっ!!

 とまぁ、こういうことである。
 発売日から3日。私の忍耐力はオヤジの薄っぺらい頭髪の如し、であった。

 しかし現実はそうもいかない。
 喚くだけでは願いは叶わないのだ。
 現状を整理しよう。

 モンスターハンターポータブル2nd(以下MHP2)のロムは弟が、PSPは妹が預かっている。
 MHP2は約4500円。
 新しく買ったとしても余ったほうはオークションなりで転売できるため、妥協範囲だ。
 問題はPSP本体のほうで、これは新品で買えば2万円。中古やオークションでも15000円は見積もらないといけない。……これが厳しい。
 どうする? 諦めるのか?
 確かに弟は受験に向け勉強中。
 弟はMHP2をやりたいという気持ちはあるが、受験という人生の岐路に屈してはいけないという情念をもって、机にかじりついて最後の追込を図っている模様。そんな弟を裏切ってMHP2をプレイするというのは兄として、というか人間としてどうなんだ、と思わなくもない。
 妹だって推薦でもう進路は決まってはいるが、弟の受験が終わるまで羽目を外して遊びに出かけたりなどしないで、夜食を作ってやったりとサポートしてやっていることだし。

 やはり我慢すべきなのか?
 でもずっと楽しみにしてきたMHP2やりたい、というこのピュアで一途な自分の心を裏切りたくもない。

 ――では、賭けようではないか。

 私はゲームファンであると同時に、競馬ファンでもある。
 今日はなんだ? 日曜日。そう、競馬開催日だ!
 ここにMHP2をもう1つ買える金額、4800円がある。
 これを……。

 本日のメインレース、阪急杯。
 ここに1頭の馬が出走する。
 その馬の名はプリサイスマシーン。
 私の大好きなマヤノトップガンの子で、その初年度産駆。
 初年度産駆ということは、99年に産まれた馬のことだから……なんと8歳馬なのである。競馬を知らない人にはピンと来ないかもしれないが、馬の8歳といえば、人間で言うと35歳前後。野球選手でもサッカー選手でも、引退を考える、もしくは引退するお年頃だ。
 周りの馬たちは皆平均して5,6歳の馬たちが多く、彼らは人間に換算すれば20〜30歳。一番活躍できる時期で、脂の乗った状態と言える。
 なので、プリサイスマシーンは老雄、とでも言うべきか。
 そんな馬に賭けるのは間違っている、と競馬を知らない人は思うだろう。

 しかし馬にだって個性というものがあるわけで、若い頃はイマイチでも、年を経てからその力を発揮する奴もいる。
 プリサイスマシーンはデビューが遅かったがジワジワと成績を残していく、去年の秋にはスワンSという、今回阪急杯で行われる1400mの距離で勝利を上げている。
 それに前走だって前が壁になる不利はあったものの、同じく1400mの距離で2着と健闘。
 さらに手綱をとるのは、先週のフェブラリーSというGIで勝利し、今年最も勢いのある安藤勝己騎手。
 人気も16頭中3番目と、競馬を知るものはその実力を素直に認めてくれさえいるのだ。

 ここでオッズを確認したい。
 プリサイスマシーンの単勝オッズは5倍。
 MHP2用の4800円をそっくり賭けて当たれば24000円になる計算で、掛け金を差し引いても20000円近くの儲けとなる。
 新品のPSPが余裕で買える計算だ。

 買うべきか、買わざるべきか。
 そう悩む私にとって、当たれば買い、外れれば諦める、という単純かつ明快な答えが返ってくるこのレースに全てを委ねることにした。
 これこそ競馬ファンたる姿と言うもの。
 4800円を単勝にそっくり賭けて、伸るか反るかの大博打。
 たかだか5000円足らずの勝負だが、このお金は私にとっての一世一代の賭けにも等しい、純粋な大勝負だ。

 いざ、尋常に、勝負!!

 ゲートが開く。
 短距離戦はスタートが肝心。
 プリサイスマシーンは――大丈夫、好位につけた。
 一方、1番人気のキンシャサノキセキは出が良くない。
 先頭を行くのは今日が引退となる本田優鞍上のニシノデュー。
 これが最後だ、と言わんばかりに逃げる逃げる。

 大勢そのままで直線迎え……プリサイスマシーンは中団。
 少しきついか?
 しかし今年の阪神競馬場は違う。
 長い直線。
 逃げ粘るニシノデューも徐々に脚色が悪くなる。
 代わって先頭窺うエイシンドーバー!
 そしてプリサイスマシーンも内から徐々に脚を伸ばし始める。

 行け! 行け、行ってくれぇっ!!

 テレビの前で大絶叫!
 大混戦のレースにごちゃつく直線。
 そこを僅かにこの2頭が抜け出すか、と思われたその矢先。
 外から武豊鞍上の2番人気に推されているスズカフェニックスが飛んでくる。

 やめてー!!

 エイシンドーバー粘る!
 プリサイスが堅実に脚を伸ばし、スズカフェニックスが飛んでくる!

 プリサイス! 頼むッ!!

 内エイシンドーバー。
 外スズカフェニックス。
 そして真ん中にプリサイスマシーン。
 3頭横並び。
 そこがゴール。

 一体どの馬が勝ったのか……。
 写真判定。
 じりじりと、胃のきりきりとした時間が過ぎる。
 関西テレビのドリーム競馬の放送時間も残り少なくなり、放送時間が終わっても判定はくだらない。

 どうなっとんねんっ!!

 勝てばモンハン。負ければ我慢。
 明暗くっきり、わかりやすい構図……だったのだが。

 1着、プリサイスマシーン!!


 

 エイシンドーバー、同着!!

 3着スズカフェニックス、という結果に。

 ・
 ・
 ・

 なんじゃそらああっ!?
 勝つには勝った。
 しかし同着。
 その場合馬券は、当たったことには当たったのだが、払い戻し金額がオッズ通りではなく、分け合う形となるため、5倍ではなく2.7倍に。

 つまり、4800円は24000円ではなく、12960円に減ってしまったのであった。
 PSPの値段には足りないし……。

 当たれば買う。
 外れれば諦める。
 じゃあ、同着だった場合は……?


 想定外ですッ!!


 どうしよう……。
 より一層途方に暮れる私であった……。

 



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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