2006年11月15日

No.233 名馬ファイル vol.09

橋口の血統

ツルマルボーイ.jpg

2004年、橋口調教師の目標は、ツルマルボーイをGI馬にすることだった

クラシックと縁のなかったボーイは、古馬になってから才能を開花
条件馬ながら格上挑戦で中京記念を勝ちGV制覇
その2ヵ月後にはGU、金鯱賞を勝つ
次はGI
しかし、その壁はとてつもなく厚かった

宝塚記念を2年連続で2着
天皇賞・秋も2着と勝ちきれぬ日々
とうとう03年は1つの勝ち星もあげられなかった

04年こそボーイをGI馬に
橋口氏の決意は固かった
父ダンスインザダークも母ツルマルガールも橋口が育てた馬
オーナーに頼みこんで実現した2頭の配合
その仔を勝たせるのは橋口の使命だったのだ

前年4着だった天皇賞・春は見送った
左回りが得意で、強烈な末脚をもつボーイには安田記念があうと見たのだ

鞍上は先週ダービージョッキーとなったばかりの安藤勝己
馬場は重馬場が苦手なボーイにはやや不安の残る稍重だった
しかし返し馬で安藤は安心した
これなら大丈夫...

レースは激しい先行争いの末にメジロマイヤーが飛ばしに飛ばした
末脚にかけるボーイにはおあつらえ向きの展開
直線に向くと、案の定先行勢にゴールまで粘りこむ脚は残っていなかった

安藤は冷静だった
なにもかもがスローモーションに映る視界の中、ラインが見える
迷うことなくそのラインへ馬を導く
そこは馬群のど真ん中
その馬群を捌く手綱は職人芸
そしてワンテンポ仕掛けを遅らせたその判断は的確だった
仮柵がとれたばかりのグリーンベルトは滑走路
ぽっかり空いた馬群の隙間を縫い、1本の矢となってボーイは突き抜ける

同じく末脚に賭けていた東京巧者、テレグノシス
馬群を突き抜けたツルマルボーイに対し、外目を走ったテレグノシス
その鞍上の判断が明暗をわけた
その差、クビの差
広い東京コースといえど、その小さなロスは接戦のなかで大きな差を生む
すなわち、そのクビ差は勝者と敗者との境界線
ボーイは常に敗者に甘んじて、その境界線を越えることはできなかった
しかし、カチリと歯車が噛み合ったこの瞬間、常であったその差は逆転
ツルマルボーイ、ついに念願のGI制覇なる
この時、すでに6歳馬
残り少ないチャンスをものにして得た勲章を手に、ツルマルボーイはダイタクリーヴァに続くサンデーサイレンスの孫としては2頭目となる種牡馬になったのであった

「ボーイの仔も必ず自分で手掛けます」

競馬は血統が織り成すドラマ
そのドラマを、橋口調教師は自らの手で紡いで行くことを誓った

〜 重賞成績 〜


posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 名馬ファイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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