2006年08月14日

No.144 将来

 時々紹介してきた我が家の弟と妹。
 彼らは双子であり、共に同じ高校へと進学し、来年の春、共に同じ高校を卒業する予定である。

「お前ら、来年卒業やけど、進路とかどうするんや?」

 夏真っ盛り。
 お盆休みでダラけきった親父が、小汚いシャツ1枚の格好で腹を少し出している。そんな格好で3人は座れるソファの上で横になりながら鼻をほじくり、3年の夏にしてようやく2人の進路を聞く親父。
 大事な話のはずなのに、どう考えてもその態度からは 『とりあえず思いついたから言ってみた』 程度のものにしか聞こえない。たぶん、本当にそうなんだろう。
 究極にだらしのない親父を目の前にしてこんなことを聞かれたら、選択肢は 「家を出る」 の一択しか思いつかないんじゃないだろうか、などと私などは思うのだが……。
 しかし良く出来た弟、妹は、こんな親父を目の前にしてもきちんと居住まいを正して答えたのである。

「できれば大学へ行って考古学を学びたいな、とか思うんやけど」 by弟
「私はお姉ちゃんと一緒の看護婦になりたいから、看護学校に行きたいんだけど」 by妹

 夢がないからとりあえず大学、という安易な逃げ道ではない。(それも否定するわけじゃないけどね)
 自分の将来を現実的に見て選んだ上での希望。(考古学で飯を食うのは大変だろうけど……)
 私は親父が聞くよりずっと以前にこの希望を聞いていたので知っていたが、改めて聞かされると本気なんだなぁ、とか思う。
 できればその思い描いた将来へ向けての道を歩ませてやりたい、などと兄は思うし、手助けできるならしてやろうと思っている。
 うちの家計事情を考えれば、2人の進学など無理だろう。
 だから社会人をやっている私としては、経済面での援助は惜しまないつもりなのである。
 カルドセプトのためだけにXbox360欲しい! とか言っているけど、それは毎月決められた小遣いの中からきちんと捻出したいと思っているわけで、私は密かに2人を援助するためのお金を貯めているし。
 もちろん一方的に援助するわけじゃなく、将来、きちんと稼いで返す、ということを念頭に置いた話だ。
 こういうときは姉も協力的。三十路近くで独身な姉は、当然貯金をたくさんもっている。たぶん、私の3〜5倍はありそうだ。
 兄弟姉妹4人が、こういう件では仲良く話し合っており、すでに了承済みなのであった。

「そうか……ワシは考古学とかようわからんけど、できることはしたるさかい、やりたいようにしたらええ」

 相も変わらず、親父はだらしなさの極限状態でそう答えた。
 扇風機の音で声が聞き取りづらかったが、弟と妹にはきちんと聞こえたようである。

「ありがとう」

 二人は静かにそう言った。
 この二人がどのような道を歩んでいくのか、兄として結構楽しみである。

 その後、夜勤でいない姉を除く3人で部屋に集まり、今日の親父について意見が一致した。

「2本、すっごく伸びた鼻毛が気になって仕方なかった」

 真面目な話をしても台無しである。
 世の父親さんたちに告ぐ。
 大事な話をするときはある程度の威厳がないとお話しにならない、と言っておく。



posted by BlueTasu at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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